第19回安全対策連絡協議会について

7日,当館会議室において,ジャパンクラブ,日本人学校,日本センター,JETRO,日本航空等からの参加を得て,治安・安全情報の共有や官民双方の安全対策に関する意見交換を行うことを目的として,第19回海外安全対策連絡協議会を開催しました。協議の概要は以下のとおりです。

  1. 日時
    日時:7月7日(火)当館会議室(12時~14時)
    参加人数:13名
  2. 協議概要
    (1)大使館からの報告・説明
    • 在外邦人の安全対策強化に係わる検討チームの提言の概要説明
      最近のテロ・治安情勢を受け,本年2月に外務省は「在外邦人の安全対策強化に係わる検討チーム」を立ち上げ,5月27日に提言をとりまとめた。提言には種々の事項が盛り込まれているが,本日の協議会では,安全対策連絡協議会の強化と10月に開催を予定している在外邦人向け安全対策セミナーについて意見を伺いたい。
    • 医療関連
      (ア) 中東呼吸器症候群(MERS)
      MERSの感染経路は主にラクダからの一次感染と病院での二次感染であり,男性及び高齢者の感染が多い傾向がある。糖尿病など基礎疾患者は重症化しやすい。ラクダとの接触を避け,病院での感染に気を付けるとともに,感染地域から戻ってきた後で症状が見られる場合には,医師に旅行歴や接触歴を正確に伝えることが重要。
      (イ) 水疱瘡
      最近モスクワで水疱瘡が流行しており,ロシア国内では予防ワクチンが不足していることから,日本に一時帰国する際にワクチンを接種しておくことをお勧めする。過去に水疱瘡感染歴がなく今後妊娠の可能性がある方は特に予防ワクチンを接種してほしい。
    • ロシアにおけるテロ情勢
      6月18日から約1か月間続くラマダン期間中にテロ攻撃を強化するようテロ組織ISIL(いわゆる「イスラム国」)が煽動しているとの情報もあり,実際に同期間に入ってからクウェート,チュニジア等でテロが発生している。ロシア国内の日本人や日本の権益を直接標的とするようなテロに関する具体的な脅威情報には接していないが,無差別テロ等の巻き添えになるおそれもあることから,ISIL,「コーカサス・イスラム首長国」や北コーカサス地方の武装勢力等によるロシア国内でのテロに対し,引き続き十分警戒する必要がある。
    • モスクワにおける治安情勢
      ロシア内務省が公表したモスクワ市内の犯罪発生率の高さを行政区別に示した地図と市民の体感治安に関するアンケートと対比した記事によると,治安が悪いと思われている地区よりも,治安が良いと思われている市内中心部の観光地や富裕・中間層が住む地区の方が犯罪発生率が高いと報じられている。在留邦人の方々も観光地や邦人が多く住む場所での安全意識を変えて対策を講じて欲しい。
      自動車運転時には,日本とロシアで法令や規則に違いがあるので,よく確認してロシアの法令や規則を遵守する必要がある。例えば,日中でも前照灯点灯義務(ヘッドライトかデイライトの点灯),信号機による指示方向以外進行禁止,左折やUターン禁止の交差点が多い,シートベルト着用義務,12歳以下のチャイルドシート使用義務,バスレーンの走行禁止,消火器,救急箱,三角標示板の3点セットの車載と使用期限の確認,交通事故時の現場維持等がある。
    • 邦人犯罪被害対策
      3か月毎に邦人の犯罪被害等をとりまとめた安全対策情報を大使館ホームページに掲載しており,4月から6月の情報を近々掲載予定。
      本年1月から6月までに大使館に届けられた邦人犯罪被害のうち,窃盗・強盗被害は,全7件であり,うち1件は邦人男性旅行者がいわゆる白タクで荷物強奪された事案があった。
      最近,ロシア当局による出入国関連の手続きが厳格に運用されており,これらに関連した相談が多く見られる。特に不法滞在は,以前は罰金で処理できたものが,特別な事情があっても裁判を受けるよう指示される場合がある。

    (2)協議事項
    • 安全対策セミナー
      大使館より,10月に本邦から専門家を招聘して在留邦人向けの安全対策セミナーの開催を予定しており,多くの方に参加していただけるよう開催の仕方を検討しているところであり,在留邦人の方々のニーズを承知したい旨発言。参加者からは,セミナーの内容により対象者も変わってくると思われる,企業の危機管理や安全対策を担当する者を対象とするセミナーと,家庭を守る主婦向けのセミナーをそれぞれ別に開催して欲しい等の意見が表明された。
    • 安全対策連絡協議会の強化
      大使館より,本協議会で協議する事項について在留邦人の方々の関心がどのような点にあるのか承知したい,また,本協議会の内容をそれぞれの団体でできる限り情報共有して欲しいと発言。参加者からは,情勢分析や事例の紹介も重要だが,これら加えて具体的な対処方法がより重要ではないか,大使館ホームページには多数の情報があるが,緊急事態発生時の対処方法等を分かり易く掲載してほしい等の意見が表明された。