大使の主要スピーチ

 

ソコロフ国立モスクワ音楽院学長,スハノフ同国際協力部長,カラティギナ同音楽院音楽理論学部准教授への
叙勲伝達式における上月大使祝辞

この度は,ソコロフ学長,スハノフ国際協力部長,カラティギナ国際活動プログラム調整部長が天皇陛下より勲章を受けられたことに対して,本日お集まりのお客様とともに,心よりお祝い申し上げます。

この度モスクワ音楽院のお三方が勲章を受章されたのは決して偶然ではありません。本年はロシア音楽の殿堂である国立モスクワ音楽院が創立150周年を迎えます。国立モスクワ音楽院の記念の年をお祝いし,日本とモスクワ音楽院の長年の協力に対する感謝を表する機会に恵まれ嬉しく思います。

日本とモスクワ音楽院の協力及び日露文化交流の発展に多大な貢献をされてきたお三方について,改めて紹介させていただきます。

ロシア文化功労者であるソコロフ学長はご自身の職務の全てをモスクワ音楽院に捧げてこられました。ソ連から新生ロシアへの移行期も含め,ソコロフ学長は多くの才能ある学生を指導され,日本を含む外国との協力拡大に常に特別の注意を払ってこられました。また,2004年から2008年まで文化・マスコミ大臣としてご活躍され,その後モスクワ音楽院再びモスクワ音楽院の学長を務められています。

スハノフさんは,モスクワ音楽院において国際協力部長及び副学長として27年以上にわたり一貫して同校の国際協力活動を指導してこられました。 スハノフさんのご指導の下,1992年に「日露音楽学生交歓コンサート」が日本で初めて開催され,このコンサートは日露の音楽学生の交流の良き伝統として今日まで毎年開催されています。

モスクワ音楽院の国際活動プログラム調整部長であるカラティギナさんのご尽力により,モスクワ音楽院と当館及び多くの日本の音楽家は着実な充実した協力を進めて参りました。

カラティギナさんは,1996年に邦楽アンサンブル「Wa-On」を創設され,モスクワ音楽院世界音楽文化センターの代表として日本音楽祭「日本の心」を実施されています。カラティギナさんご自身も箏演奏家,邦楽の専門家として邦楽演奏者の指導と演奏活動を行われています。「Wa-On」及び「日本の心」がこの度創設20周年を迎えられるにあたり,併せてお祝い申し上げます。

近年,モスクワ音楽院は外国からの留学生受け入れを拡大しています。現在20名以上の日本人留学生がモスクワ音楽院に留学しており,日本の音楽家の育成への貢献であります。本日は後ほど,そのうちの2名の方に記念の演奏をいただくことになっています。

音楽を通じて日露文化交流の発展と相互理解の深化に貢献されたお三方の功績に,改めて敬意と祝意を表し,モスクワ音楽院のさらなる発展,お三方のご健康とご活躍を祈念いたします。今後,多くの優れた音楽家がモスクワ音楽院から誕生するよう期待しています。