ヴォスクレセンスキー・モスクワ音楽院教授及びドレンスキー同教授への叙勲伝達式
原田大使ご挨拶
尊敬するヴォスクレセンスキー教授,ドレンスキー教授,
ご列席の皆様,
両教授の旭日中綬章の受章を本日ここにお集まりの皆様とともに心よりお祝い申し上げます。
ヴォスクレセンスキー教授,ドレンスキー教授のご高名は世界中に轟いております。現在活躍している有名なロシア人ピアニストの多くが両教授の指導を受けたと言っても過言ではありません。今でも両教授の指導を受けたいと世界中の国から学生が集まっており,日本からも,これまで多くの学生が両教授のご指導を受けました。そればかりでなく,両教授はしばしば日本を訪問し,日本人ピアニストの育成にも力を注いでこられました。本日この席にいらっしゃる方々の中にも両教授の指導を得て活躍されている日本人ピアニストもいらっしゃいます。このような大きな貢献に敬意と感謝を表する趣旨で,この場をお借りして,両教授の対日功績につきご紹介させて頂きます。
お名前のアルファベット順でご紹介させて頂きます。まず,ヴォスクレセンスキー教授は,1959年から母校のチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院で教鞭を執られ,以後55年以上にわたり一貫して,同校でピアノの指導に当たってこられ,1976年には教授に,2007年にはピアノ学科長に就任されました。
ヴォスクレセンスキーさんがコンサートのため初来日されたのは1961年でした。当時,日本とソ連の文化交流は極めて限られており,日本の聴衆はヴォスクレセンスキーさんの演奏を通じてロシアの文化やクラシック音楽の水準の高さを知る幸運に恵まれました。
その後,長きにわたり桐朋学園大学や東京芸術大学等において特別レッスンを実施されており,特に桐朋学園大学音楽学部での特別レッスンを通じて,12名の教え子が国際コンクールで入賞を果たすなど,日本のピアノニストの育成に多大な貢献を果たされました。
また、ヴォスクレセンスキー教授は,「日本におけるロシア文化フェスティバル」の一環で,つい先日まで日本でコンサートを行われ、多くの聴衆を魅了されたと聞いております。
次に,ドレンスキー教授は,1957年から同じくチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院で教鞭を執られ,1978年にはピアノ学科長に,翌79年には教授に就任されました。
また,同教授はチャイコフスキー国際コンクールやショパン国際コンクールをはじめ多くの国際コンクールで審査員を務められていることでも有名です。
同教授は,モスクワ音楽院において多くの日本人ピアニストの指導に当たった他,日本人ピアニスト中村紘子さんと40年以上にわたる交友関係を築き,コンサートでの共演やCDの共同制作など行ってこられました。また,1990年代初頭からは,定期的に訪日指導を行われており,特に2001年以降「カワイ音楽振興会」の招聘により毎年本邦での公開レッスンを実施しています。
このようにドレンスキー教授は,演奏家として,また指導者として日本のクラシック音楽界の発展に多大な貢献をなされました。
チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院の創設150年を来年に控え,またチャイコフスキーの生誕175周年に当たる本年に,同音楽院が誇るお二人の功績を祝うことができ大変うれしく思います。お二人のご健康とさらなるご活躍を祈念するとともに,今後とも音楽を通じた日露間の芸術交流の発展と相互理解の深化にますますご尽力いただけるようお願いをし,私のご挨拶といたします。
ご静聴ありがとうございました。
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