ゲニエヴァ・全ロシア国立外国文献図書館長及び
ネチャエヴァ・モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学教授への
叙勲伝達式における原田大使祝辞
尊敬するゲニエヴァ館長,ネチャーエヴァ教授,御列席の皆様,
この度は,ゲニエヴァ館長,ネチャーエヴァ教授が天皇陛下より旭日中授章を授章されたことに対して,本日お集まりのお客様とともに,心よりお祝い申し上げます。
長年,日露の文化交流に多大な貢献をされてきたお二方について,改めてご紹介します。
まず,全ロシア国立外国文献図書館のエカテリーナ・ゲニエヴァ館長です。ゲニエヴァ館長は,1993年に館長に就任されて以来,20年以上にわたり,ロシア有数の大図書館である全ロシア国立外国文献図書館を率いておられます。
自ら19・20世紀の英国文学の著名な研究者であり,多数の本や論文を著しておられるゲニエヴァ館長の就任とともに,同図書館は,従来の図書館業務に加えて,国際文化交流,国際文化対話の一大拠点としての姿を鮮明にしてきました。初期にはブリティッシュ・カウンシル,アメリカン・センター,フランス文化センターなどが図書館内に開設され,その後,一部変化はありましたが,現在も多数の国が図書館を拠点として,文化交流を進めています。
当大使館の広報文化部も,1995年から,大使館の新庁舎に移転する2008年まで同図書館に入居し,その後は国際交流基金が引き継いで多数の日露文化交流事業を行っており,こうした事業を円滑に行うことができるのも,ゲニエヴァ館長のご指導のもとに,図書館の真摯なご協力があるからに他なりません。このようにゲニエヴァ館長は,日露文化交流を基盤の部分で支えて下さっている方です。
次に,モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学のリュドミラ・ネチャーエヴァ教授をご紹介します。
ネチャーエヴァ教授はモスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学日本語学科において,同学科の戦後黄金期を築いたイヴァン・ゴロヴニン教授の指導のもと,教育に尽くされました。1994年にはゴロヴニン教授からロシア・CIS日本語教師会の会長を引き継がれ,名実ともにロシアの日本語教育を代表する存在です。
教育者また研究者としての数ある功績の中で,多くの方が挙げるのは,大学生向けの総合日本語教科書の執筆です。ロシア語による文法解説や現代の日本社会・文化を反映したテキスト,優れた練習問題を備えた教科書は,ロシア及びCIS諸国で大変広く使用されています。大学で初めて日本語を学んだ学生にとって,ネチャーエヴァ教授のお名前は何より親しいものではないでしょうか。日本語学習者の裾野を広げ,日本理解を大きく促進されました。
また,今回のネチャーエヴァ教授の受章は,昨年のステラ・ブィコヴァ日本語学科長の旭日中授章受章,ならびに同学科の国際交流基金賞受賞に続くものであり,モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学の多大の貢献に,改めて感謝申し上げます。
日露交流に対するお二方のご貢献に心から感謝と敬意を表し,ますますのご健康とご活躍を祈念して,私のご挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。
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