大使の主要スピーチ

 

ラリオン・アレクサンドロヴィチ・レベヂェフ氏への叙勲伝達式
原田大使祝辞

尊敬するキリエンコ総裁,レベヂェフ博士,御列席の皆様,

この度,レベヂェフ博士は,天皇陛下より旭日中授章を授章されました。レベヂ ェフ博士に対し,心よりお祝いを申し上げます。

申し上げるまでもなく,レベヂェフ博士は40年を超える長きにわたって研究開 発に従事してこられたロシアを代表する原子力分野の研究者のお一人です。レベヂ ェフ博士は,約30年前にチェルノブイリ原子力発電所の事故の際には,放射線調 査グループ長として事態の収拾に尽力された他,国際原子力機関(IAEA)の活 動にも参加され,国際的にも活躍されておられます。

日本との関係では,まず1991年からの約1年間,東京大学で自らの研究室を 持ち,研究に従事されるとともに,学生や若手研究者に対して講義を行われました。 その後も博士は,東京大学などの大学関係者はもちろん,今回陪席されている服部 原子力産業協会(JAIF)理事長をはじめとする原子力産業関係者との交流を続けら れ,20 年以上の長きにわたって日露の原子力分野における学術交流や技術交流の発 展に貢献されました。

そして,2011 年 3 月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故への対応にあ たっては,ロシア政府の指名により,レベヂェフ博士は,日露原子力専門家会合の 露側コーディネータとなり,日本の専門家に技術的知見を提供くださいました。そ して,レベヂェフ博士の多大なご尽力により,現在,事故対応にあたり最重要課題 の一つとなっている放射線汚染水からトリチウムを分離する技術について,昨年か らロスアトムグループのロスラオ社が日本政府と協力して技術の実証に取り組んで いるところです。

このような貢献をされたレベヂェフ博士にこの ATOMEXPO の場で叙勲伝達式を 行うことをアレンジいただいたキリエンコ・ロスアトム総裁に御礼申しあげるとと もに,各国の原子力関係者の福島事故対応に関する我が国への協力に対し,この場 を借りて改めて感謝申し上げます。

最後に,原子力分野におけるこれまでのレベヂェフ博士のご貢献に改めて感謝と 敬意を表するとともに,原子力分野における日露協力の一層の発展を祈念して,私 のご挨拶とさせて頂きます。

ご静聴ありがとうございました。