ステラ・ブイコワ氏への叙勲伝達式
原田大使祝辞
尊敬するブイコワ学科長,御列席の皆様
この度は天皇陛下より旭日中授章を授章されたことに対して,ブイコワ学科長に対して本日お集まりのお客様とともに,心よりお祝いを申し上げます。
皆様もご存じのとおり,ブイコワ学科長は50年の長きにわたって日本語を教えられてこられた熟練の教育者・研究者であり,モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学および東洋諸国大学の日本語学科長として日露交流に大きな貢献をしてこられました。
はじめに,ご経歴を紹介します。
1967年,現在のアジア・アフリカ諸国大学となるモスクワ国立東洋語大学を優秀な成績で卒業され,すぐに母校の日本語教師として採用されました。以来一貫して同大学で日本語を教えておられます。研究においては日本語の語彙論や文体論,方言,慣用句といった分野で特に優れた実績を残されており,ロシアで初めて出版された日露慣用句辞典の編纂を始め,6冊の教科書を執筆されました。1994年には,東洋諸国大学の初代日本語学科長にも任命され,現在は2つの大学において学科長として後進の指導に尽力しておられます。
ブイコワ学科長に教えを受け,後年,著名な研究者や外交官,ジャーナリスト等になられた方は少なくありません。本日,この場におられるアジア・アフリカ諸国大学の同僚であるマズーリク助教授や,現在日本研究者協会の会長を務められるストレリツォフ教授なども若き日にブイコワ学科長のもとで日本語を学びました。当館を始め,在モスクワ日系企業の職員,社員として活躍する卒業生も多くいます。日本とロシアを繋ぐ人材を多数育成し,日露の相互理解を大いに促進されました。
日本語教育におけるこれまでのブイコワ学科長のご貢献に改めて感謝と敬意を表し,ますますのご健康とご活躍を祈念して,私のご挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。
(了)
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