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対アルメニア共和国 国別援助方針

 

2012年12月

  1. 援助の意義
         アルメニアは1991年の独立後の市場経済化の改革努力の結果、おおむね順調な経済成長を達成してきており、2002年には世界貿易機関(WTO)への加盟を果たした。同国の人口は約300万人ではあるが、在外アルメニア人(ディアスポラ)が700万人に上り、国際的にも一定の発言力を有している。また、中央アジア諸国・カスピ海地域と欧州をつなぐエネルギー・物流の回廊として重要な位置にあるコーカサス地域において、我が国とアルメニアは自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済といった基本的価値や制度を共有するパートナーとして、国際場裏においても協力関係にある。
         一方で、アルメニアでは全GDPの約6割が首都のエレバンに集中するなど都市部と地方部との間で地域間格差が拡大、特に2008年の世界金融危機以降、農村部における貧困率は急上昇している。また、電力や道路等のインフラの多くが旧ソ連時代に整備され老朽化しており、経済・社会のさらなる発展を目指す上で阻害要因となっている。さらに、アルメニアは地震多発国であり、防災能力の向上が急務となっている。
         このような状況を踏まえ、我が国がアルメニアに対してODAを通じた支援を行っていくことは、同国が抱える問題の解決を後押しするのみならず、我が国との協力関係を一層強固なものとし、国際社会における我が国の外交力強化にもつながること、さらには地理的に重要な位置にあるコーカサス地域全体の安定にもつながることから意義がある。
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  3. 援助の基本方針(大目標):均衡のとれた持続的な経済成長の達成
         アルメニア政府は貧困削減戦略書(PRSP)に基づき政府開発戦略を策定、迅速かつ持続的な経済成長、社会政策の実施及び公的部門のガバナンスの効率性向上等を課題としている。我が国は、同戦略でも優先課題として掲げられている「持続可能な成長」の実現に貢献すべく、地方を含め均衡のとれた経済・社会の発展に寄与する制度整備やインフラ整備、及び防災対策を中心に協力を行う。
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  5. 重点分野(中目標)
    (1)_経済発展のための制度・インフラの整備と地域開発
          GDPの約6割が首都に集中する背景として、地方部の多くが山岳地帯に位置するためアクセスが容易でないことや、地方の主要産業である農業の生産性が低く、また農業以外に有力な産業が育っていないこと等があげられる。我が国は地方経済の活性化のため、経済活動や市民生活の基盤となる電力網等の基礎インフラの整備を支援し、雇用機会の創出につながる協力も行う。また、中小企業振興のための人材育成についても支援に努める。
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    (2) 防災対策の強化
          アルプス・ヒマラヤ造山帯に位置し国土の大部分が山岳地帯であるアルメニアは、活断層も多く地震多発国である。このため、防災に関する我が国の経験や技術を活かしつつ、同国の防災能力の強化のため人材育成等の支援を行う。

     

  7. 留意事項
          アルメニアにおいては、米国、ドイツ、フランスのほか、世界銀行や国際通貨基金(IMF)など国際機関等も支援を行っているところ、案件の重複等を避け効率的・効果的に支援を行う観点から、これら他ドナーとの情報共有や連携を密に行う。
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    (了)

    別紙: 事業展開計画(改訂中)