安全情報

 

 

 

 

 

2013年10月~12月までの当地治安関連情報

 

  1.  治安・社会情勢(一般治安情勢,政治的安定度,反政府勢力の動き,対日感情の変化)
       (1)一般国民による反体制抗議運動は,集会法の罰則強化やNPO外国エージェント法採択等の締め付け策により,鎮静化しつつあるが,社会の不満は依然として解決されるには至っていないといわれている。2013年9月8日のモスクワ市長選前後には特段の混乱は起きなった。10月,コーカサス系によるスラブ系男性殺人事件に端を発し、モスクワ南部で民族間の緊張に伴う騒乱が発生した他、当局による取り締まりが強化され,多数の不法移民が摘発された。また,11月4日の民族統一の日には大規模な不法移民の取り締まり強化等を掲げる行進が行われるなど,民族間の緊張が高まった。
       (2)ロシア国民の日本に対する感情は一般的には良好であるが,反面,北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に抗議することもあり,複雑な側面がある。6月19日,「もう一つのロシア」構成員を名乗る若者約10名が大使館前でビラ配布を行う等の抗議活動を展開し,4名が逮捕される事件が発生した。今後,同様の抗議活動が当館や日系関連団体・企業等に対して行われる懸念があり,警戒が必要である。
       (3)北コーカサスにおいては,引き続きテロが頻発している。特に,7月初旬,北コーカサス武装勢力の幹部であるドク・ウマロフと思われる人物が,ソチオリンピックの開催を阻止することを促す動画がカフカスセンターウェブサイトに掲載されて以降,テロが頻発するダゲスタン共和国に加えて,10月には,ボルゴグラードにて路線バスを標的とした自爆テロ事件,12月には,連続して鉄道駅及びトロリーバスを標的とした自爆テロが発生するとともに,スタヴロポリ地方ピャチゴルスクでも交通警察建物を狙った爆弾テロが発生しており,警戒が必要である。
  2.  

  3.  一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
        (1)モスクワ市内務総局によると,2013年モスクワ市における犯罪件数は,約17万5千件で前年比2.9%減少しており,依然として高水準で推移している。また,当地では外国人排斥を唱える民族主義者が多数存在しているといわれている。
       (2)【邦人被害】
    ●10月8日午前9時頃,邦人留学生が,学校に向かう途次,ヘッドフォンでWIFIルータを用いてインターネットのストリーミング音楽を聞いていたところ,モスクワ大学内の路上の交差点において信号待ちしていた際,背後に男が必要以上に近づき,不審に思ったが,信号が青になり,交差点を渡っていたところで急に音楽が聞こえなくなり,バックに入っていたWIFIルーターを盗難された。
    ●10月12日,出張中の邦人が,レストランから宿泊先の部屋に戻るとカバンに入れてあった旅券が無くなっていた(他に無くなっているものはなかった)。その後見知らぬロシア人から「旅券を見つけたので謝礼が欲しい」という連絡があり,旅券を受け取った。
    ●10月20日19時頃,メトロ・アホトニリャド駅からティアトリアナ駅の乗り継ぎの際に,エスカレーターで移動中に,バックのサイドポケットに入れていたスマートフォン及び財布(現金,カード類在中)を盗難された。
    ●10月24日,出張者である邦人が,モスクワ市内ミーラ大通りにある「カフェ・ハウス」で座席横に置いたスーツケースの上に載せてあったカバン(財布,旅券等在中)を置き引きされた。
    ●11月11日午前11時頃,在留邦人が,パークプレイス近くのバス停留所からバスに乗車しようとして数人の中央アジア系の数人に囲まれ,気付いた時にはバックの中に入っていた財布を盗難された。
    ●11月15日17時頃,在留邦人が,地下鉄緑線でベラルースカヤ駅まで移動し,駅に到着してからバッグを確認したところ,ファスナーが開いていて財布や旅券等を盗難された。
    ●11月24日18時頃,邦人旅行者が,地下鉄ボロヴィツカヤ駅下りエスカレーターにカバンをたすき掛けにして乗っていた。ホームに着き,カバンを見ると気づかないうちにチャックが開けられ,中に入れてあった旅券(革のカバーだったため財布と勘違いした可能性あり)と音楽機器を盗難された。
    ●12月3日20時頃,在留邦人が,20時~21時半の間,ノーヴィエチェレムシュキ駅近くのパノラマ・ショッピングモール内のレストラン・フライデーズ内で同僚二人と食事をしていたところ,ソファー席の横にバッグを置き,その上にコートを置いていたが,気付いた時にバッグが盗難されていた。
    ●12月19日午前9時頃から午後2時頃までの間,在留邦人の入居先において,窃盗事件(忍び込み)が発生した。同日朝から就寝していた同人は,午後2時頃に目が覚めた際,室内の異変を感じたため,状況を確認したところ,かばんの中に入っていた財布(現金6,000ルーブル,クレジットカード1枚及びキャッシュカード1枚在中)1個がなくなっていた。
       (3)【邦人以外の外国人の被害】
    ●10月10日深夜から11日未明にかけて,モスクワ市南部のビリュリョボ地区において地元住民が刺殺される事件が発生した。防犯カメラの映像等から犯人は,コーカサス地方又は中央アジア出身の男性とみられており,警察は犯人の行方を捜査している。
    ●10月15日夜,在ロシア・オランダ大使館員が自宅で2人組の男らに襲撃された。襲撃者らは,電気技師を装いアパート内に侵入し,同人を殴打し住居を荒らし,廊下の鏡に口紅で矢の刺さったハートマーク及び「LGBT」の文字を残して去った。軽傷を負った。
    ●10月13日,ロシア人男性が刺殺された事件をきっかけにし,モスクワ市南部ビリュリョボ地区において,地元住民等1,000人以上が結集し,非ロシア人排斥を訴えるデモ行為を行った。その後,デモ行為に参加した者らが暴徒化し,商業施設を襲い放火する,機動隊員らに暴力をふるうなどの行為をし,380人以上が身柄を拘束された。なお,10月15日,警察は,本件のきっかけとなった殺人事件の容疑者としてアゼルバイジャン出身の出稼ぎ労働者の男を逮捕した。
    ●10月28日,警察は強盗殺人の容疑でウズベキスタン出身の住所不定の男を逮捕した。この男は,10月25日,モスクワ市ドブロスロボーツカヤ通り15番地において,ナイフ等を用いてウズベキスタン出身の女性を殺害し,携帯電話2台,ノートブックパソコン1台,貴金属類及び現金1万ルーブルを奪った疑いがもたれている。
    ●11月2日午前5時頃,モスクワ市コスモナフタ通り所在のカフェにおいて,北コーカサス地方出身者とみられる3人組が,カフェにいた客2名と店員1名をナイフで切りつけ逃走した。その後,警察は逃走した3人組の身柄を拘束しており,事件の詳細について確認している。
    ●11月9日,モスクワ市ノヴァルジュネツキー横丁にある『ルジュニキスタジアム』付近において対立する2つのグループ間による乱闘事件があった。本件において,警察は両グループのメンバー16人の身柄を拘束した。
    ●11月13日午前9時30分頃,モスクワ市シェレメチェヴォ空港Dターミナル付近において,キルギス出身の男性が銃撃2発を受け負傷した。犯人は,タクシーから被害者男性を銃撃し,その後逃走した。
    ●11月18日夕方,モスクワ市ティハレフスキー並木道の商業施設から出てきた中国人2人が,黒色の自動車(アウディ製・A4)に乗った男から襲われた。被害にあった中国人は,現金約9万ルーブルが入ったかばんを奪われた。
    ●11月21日,モスクワ市南部ボリソフスキエ・プルドゥイ通り16番地において,男性が拳銃と思われる武器で脅されかばんを奪われた。犯人はリトアニアナンバーと思われる自動車で逃走した。
    ●12月1日,モスクワ市ノヴォラシースカヤ通りにおいて,中国人2人が口論の末,一方の男が相手方の男をナイフで切り殺した。その後,加害者自身もアパートの7階から飛び降り自殺した。
    ●12月17日モスクワ市ボリショイ・ニキーツキー通り48番地付近において,在ロシア・スペイン大使館員が,何者かにより顔面を数発殴られた。加害者の男は,殴った後にその場から立ち去っていたが,翌18日警察に身柄を拘束された。
  4.  

  5.  テロ・爆弾事件発生状況
        (1)邦人被害はなし。
       (2)外国人被害はなし。
       (3)テロ・爆弾事件発生事例
    ●10月4日,キルギス出身の50歳の男が過激組織に係る活動を行ったとして警察に身柄を拘束された。同人は,モスクワ市スタリ・トルマチェフスキー横町に所在するモスクにおいて,ロシアがテロ組織として指定している「Hizbut-Tahrir(ヒズブ・タフリール)」の徴兵活動を行っていた。
    ●10月21日午後,モスクワ市ボリシャヤ・オチャコフスカヤ通り39番地所在の第816学校に何者かから「爆弾を仕掛けた。」旨の不審な電話が入った。同校からの通報を受け警察は敷地及び建物等を検索したが爆発物は見つからなかった。検索の際,学生410人及び職員50人が建物の外に避難した。
    ●10月21日、ボルゴグラード市内の路線バス車内で自爆テロにより、容疑者を含む7人が死亡、55人が負傷した。
    ●10月23日、北オセチア共和国ウラジカフカス市内で検事局の副検事が自宅の玄関口で何者かに射殺された。
    ●10月23日,モスクワ市地下鉄チェルタノフスカヤ駅において,警察官によって不審物が発見された。不審物発見時,周辺に非常線が張られ通行制限等がなされたが,検査等を実施した結果,安全が確認された。
    ●10月28日午前8時頃,モバイルインターネットサイトの『КАРТЫ(カルティ)』に,あるユーザーから「今日の午後2時にサダボット市場で爆弾を爆発させる。」という書き込みがされた。この書き込みを受け,警察は,モスクワ市南東部にあるサダボット市場において検索を実施したが,爆発物等は見つからなかった。
    ●10月29日、カバルダ・バルカル共和国で対テロ作戦中に、銃撃戦で武装勢力戦闘員及び法執行機関職員1名が死亡した。
    ●10月30日、ダゲスタン共和国マハチカラ市中心部の商店前路上で爆弾が爆発し、2人が死亡、15人が負傷した。
    ●11月1日、クルガン州クルガン市の裁判所建物内で手榴弾が爆発し、2人が死亡、2人が負傷した。
    ●11月7日,モスクワ市ヴァルシャフスコエ街道とモスクワ環状道路の交差する地点にある野菜倉庫から,400グラムのTNT火薬,起爆薬及び手榴弾が発見された。
    ●11月16日、カバルダ・バルカル共和国ナリチク内で非常事態省建物付近の路上で銃撃戦があり、内務省職員1人、襲撃した1人が負傷した。
    ●11月16日、ダゲスタン共和国マハチカラ内の対テロ作戦で、武装勢力5人が殺害された。殺害された中には、10月21日ボルゴグラードで発生した路線バスの自爆テロの実行犯と思われる女性の内縁の夫が含まれていた。
    ●11月21日,モスクワ市リャザンスキー大通り99番地所在の『国立経営大学』の建物に爆弾を仕掛けたという不審な電話があった。通報を受け駆けつけた警察官は,安全確認を実施したが,爆発物等は見つからなかった。なお,検索の際に学生ら約4,000人が避難した。
    ●12月12日朝,何者かから警察に「国立経営大学に爆弾を仕掛けた。」という不審な電話があった。この電話を受け,警察は同大学において爆発物の検索を行ったが,爆発物はなかった。なお,検索を実施した間,学生ら約4,000人が避難した。
    ●12月16日、ダゲスタン共和国内で、武装勢力との銃撃戦により、警察官等5人が死亡し、他1人が重傷を負った。
    ●12月26日、カバルダ・バルカル共和国のナリチク市内で警察幹部の自動車の下から爆発物が発見されが、無力化された。死傷者はいなかった。
    ●12月27日、スラブロポリ地方ピャチゴルスク市内の交通安全監督局の建物付近で爆弾が爆発し、3人が死亡した。
    ●12月29日、ボルゴグラード市中心の鉄道駅で自爆テロが発生し、18人が死亡し、50人が負傷した。
    ●12月30日、ボルゴグラード市内のトロリーバスの車内で自爆テロが発生し、16人が死亡し、20人以上が負傷した。
  6.  

  7.  誘拐・脅迫事件発生状況
    特になし。
  8.  

  9.  日本企業の安全に関わる諸問題
    日本企業に対するものではないが,北方領土問題の交渉再開合意に伴い,当館に対する抗議活動が行われており,今後の情勢次第ではさらに激化する懸念があり,当館ばかりでなく,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者個人についても各自で警戒していく必要がある。
  10.  

    以上