海外安全対策情報(平成28年1月から3月)
【最近,クレムリン周辺やショッピングセンター等の人混みでスリ被害が報告されており,たすき掛けしたバックを背中側しないように注意してください。また,路上で詐欺事案も見受けられますので,見知らぬ人の声かけは無視をするか,警官と名乗る者には身分証明書の提示を求める等して下さい。】
- 治安・社会情勢(一般治安情勢,政治的安定度,反政府勢力の動き,対日感情の変化)
- 一般治安情勢
- 政治的安定度
- 反政府勢力の動き
- 対日感情
- 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
- ロシア内務省は,2015年(1月~9月)のロシア連邦内の犯罪情勢について次のとおり発表した。(以下の括弧内の数字は前年同期比)
- 【邦人一般犯罪被害】
- 【外国人一般犯罪被害】
- その他参考となる犯罪被害
- テロ・爆弾事件発生状況
- 邦人被害なし。
- テロ・爆弾事件(未遂)発生事例
- 誘拐・脅迫事件発生状況
- 邦人事案なし
- その他
- 日本企業の安全に関わる諸問題
- 日本企業に対するものではないが,時折,当館に対して領土問題に関する抗議活動が行われることがある。領土問題については,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者であっても言動等に注意が必要である。
- 近年,ロシアでは外国人管理が厳格化されており,軽微な交通違反等であっても複数回違反した場合,入国禁止処分を受けることもあるので,法令違反には注意が必要である。また,不法滞在の処罰も厳格化しており,うっかり気づかず数日間査証が切れても不法滞在として裁判を受ける可能性があるので,日頃から査証の有効期限のチェックが必要となっている。
ロシア内務省の発表によれば,2015年(1月~9月)の犯罪件数は全体で6.9%増加(前年同期比)しており,特にテロ的性質をはらんだ犯罪や過激主義による犯罪,外国人を対象とした犯罪等が増加している。ルーブルの下落により物価が上昇し,市民生活にも影響が出てきている。今後景気後退による一般犯罪の増加や愛国主義の高揚による排外的機運の高まり等に注意していく必要がある。
(ア)2015年2月に野党党首であったネムツォフ氏が殺害される事件が発生し,本年2月にも反体制派によるデモ行進及び集会が行われた。
(イ)経済情勢の悪化や新たな税徴収制度導入計画,賃金未払い等に対する抗議活動がロシア各地で発生している。本年9月には国家院選挙や統一地方選挙が予定されており,このような抗議活動が拡大していくか注視が必要である。
(ア)過去にロシア国内で頻繁にテロ事件を起こしてきた北コーカサスの武装勢力は,そのリーダーが相次いで殺害されたと報じられており,その活動も減退しているといわれているが,北コーカサスの武装勢力がプレゼンスを示すことを狙ったテロを起こす懸念もあり,警戒が必要である。
(イ)3月6日,ISIL「コーカサス州」は,ロシア国内でのテロを呼びかけるビデオ声明を初めて公表した。その後,ダゲスタン共和国で自爆テロや警察車両を狙った爆破事件が相次いで発生している。
(ウ)ISILは,北コーカサス地方をISILの行政地区とすると一方的に宣言しており,ロシアによるシリアへの空爆開始後,ロシアを攻撃対象にする旨の声明を度重ねて公表している。
(エ)また,ISILには多数のロシア人等が参加しているとされ,シリアやイラクから帰還した者によるロシア国内でのテロの懸念が生じており,ロシア国内でこれらの者がテロを計画していたとして逮捕されている。
ロシア国民の対日感情は一般的には良好であるが,過去に北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に対する抗議を行ったこともあり,また,制裁導入への反発もあり複雑な側面がある。今後,同様の抗議活動が当館や日本関連団体・企業等に対して行われる懸念があり,警戒が必要である。
(ア)全犯罪の登録件数は,175万400件(6.9%増)であり,この内89.5%が摘発された。
(イ)「テロ的性質をはらんだ犯罪」(登録件数1,144件(47.8%増))及び「過激主義による犯罪」(登録件数1,028件(30.3%増))で顕著な増加が見られた。また,「外国人及び無国籍者を対象とした犯罪」(登録件数1万2,200件(20.6%増))にも増加が見られた。
(ウ)犯罪による死亡者数は,24,600人 (5.5%減)であった。公共施設における犯罪件数は63万1,400件(10.2%増)であった。
●1月19日,在留邦人が地下鉄ウニベルシチェルト駅近くのショッピングモールから自宅のアパートに徒歩で向かっている間に,たすき掛けにして背中側になっていたショルダーバックが開けられ中に入っていた財布が盗まれているのに気付いた。
●3月27日,在留邦人がボリショイ劇場近くの路上で,警察であると称して近寄ってきた男に,身分証明書の提示及び財布の提示を求められ,旅券及び財布を男に渡したところ,返却後に財布の中から3万ルーブルが抜かれていたことが判明した。
●SNSを通じて知り合ったロシア人女性が,日本に渡航するために必要等として本邦在住の日本人に金銭を要求し,送金後は連絡がとれなくなる等の詐欺が頻発している。
●1月2日午前5時頃,モスクワ市内の簡易店舗に3人組の強盗が侵入し,中にいた中央アジア人を刃物で脅した上,10万ルーブルを奪って逃走した。容疑者は16~17才であった。
●1月7日,ウズベキスタンからモスクワに来た男性がタクシーで銀行に行き,現金を引き出した後,再度同じタクシーで別の場所に移動中に車内で寝ていたところ,降車後現金7万6千ルーブルと携帯電話がなくなっていることに気付いた。
●1月22日,ベトナム人がモスクワ市内で路上駐車していた車を盗まれた。
●2月24日,モスクワ市郊外の路上に駐車していた北朝鮮人所有の車の窓が割られ,車内から衣類等が入ったかばん5点(4万ルーブル相当)が盗まれた。
●3月14日昼,モスクワ市内で2人の中国人がハンマーで殴られ,所持していた鞄や携帯電話,タブレット端末,現金10ドル等を奪われた。犯人が逃走に使用した車両が発見されたが盗難車であった。
●3月29日午前4時20分頃,モスクワ市内の商店付近で46才のアゼルバイジャン人が,28才の男に刃物で襲われ,腕を骨折した他多くの切り傷を負った。同日16時頃当局が犯人を逮捕したが,「中程度の傷害事件」として処理し,自宅から外出しない旨の宣誓書にサインをさせて解放した。しかし,翌30日18時頃,この犯人は同じ商店の脇で前日に襲った被害者の息子(16歳)を刃物で襲った。
●1月1日午前10時頃,警察は中国出身の26歳の男を拘束した。この男は,金銭を受け取る見返りに,モスクワ市内の自分のアパートで不法滞在の中国人11人を居住させていた。
●1月3日午前5時頃,モスクワ市内を走行中の自動車に,別の車両で急接近した上で停車させ,被害者男性を車の運転席から強引に降ろし数回殴打した上で,車の中にあった携帯電話,現金及びパスポートを奪って逃走した。同日13時頃,警察は容疑者として,中央アジア出身の男2人を逮捕した。容疑者の1人はタクシー運転手であった。
●1月9日,モスクワ市北東部で,タクシーの運転手の男が乗客をけん銃で脅し,現金12万ルーブルを奪った。
●1月13日23時頃,モスクワ市内で何者かが74歳の女性からかばんをひったくり逃走した。警察は同日中にモスクワ市内に住む73歳の容疑者の男を拘束した。
●2月2日,モスクワ市中心部のATMで現金を引き出した高齢の男性が3人組の男らに襲われ現金を奪われた。この強盗犯は被害者男性が銀行から出てきたところを,車に押し込み,現金200万ルーブルが入ったかばんを奪った後,男性を解放して逃走した。
●2月17日12時過ぎにモスクワ市内の銀行の近くで,何者かが男性に向け銃器を発砲し,被害者男性から現金を奪って逃走した。
●2月18日,モスクワ市内の著名人たちが居住する高級アパートを対象に盗みを繰り返していた2人組の男女が逮捕された。犯人らは居住者を監視し,不動産業者の助けを借りて部屋の見取り図を研究,巧妙に監視カメラをかいくぐり犯行に及んでいた。
●2月26日,モスクワ市トロパレヴォ・ニクリノ地区警察は,窃盗の容疑で20代の男を拘束した。この男は身柄を拘束された際に携帯電話4台,銀行のカード及び社会福祉カード4枚を所持しており,いずれも警察に押収された。この男は,複数の女性を狙ったひったくり事件に関与している疑いを持たれている。
●3月2日,モスクワ市内でベビーシッターのウズベキスタン人が,切断された幼女の首をもって地下鉄オクチャブリスコエ・ポリャ駅付近で大声を出し,徘徊していたところを殺人容疑で逮捕された。
●3月9日,モスクワ市内の路上で,身元不明の3人の男らが,交通事故を誘発させ,降りて来た被害者の男性に武器を使って怪我をさせた上,15万米ドルの入ったかばんを奪って逃走した。
●3月28日,30代の男性がモスクワ市中心部で,知り合ったばかりの3人の女性と一緒に酒を飲んでいたところ,意識を失い鞄などの所持品を奪われた。男性は診察の結果,向精神性の薬物の服用が認められた。
●モスクワ市北管区警察は,3月11日から14日までの間に,無許可タクシー行為に従事していた10名を拘束した。この10名は,CIS諸国や中央アジア出身の24歳から39歳までの者らであった。
●1月9日,モスクワ市内の建物からガスの臭いがするとの通報があり,捜査員が現場を確認をしたところ,建物入り口付近に液体が入った瓶に起爆装置が接続された,爆発物とみられる物が見つかり,住人60人が避難した。
●2月7日,エカテリンブルク市において,モスクワを含むロシア国内の複数都市でのテロを計画していたISILメンバー7人が拘束された。
●2月15日,ダゲスタン共和国デルベンツキー地区の交通警察詰め所にて爆弾が爆発し,警官2人及び民間人1人が死亡,7人が負傷した。事件後ISILが犯行声明を出した。
●2月18日,連邦保安庁は,モスクワ市郊外の集合住宅の一室でテロ組織ISILの戦闘員としてシリアなどに渡航する者等が使用する目的で偽造旅券を製造していた14人を拘束した。捜査の過程で保安庁は多数の偽装旅券やスタンプ,シール類,過激主義に関する書籍を押収した。
●3月6日,モスクワ市南西部のアパートで,手製爆弾を製造している,との情報を入手した警察は,アパートの捜索を実施し,住所・職業不定の前科のある27歳の男を拘束した。同アパートからは,爆発物を作るために用いられるとみられる酸性の化学薬品のほか,実験用具,手製爆弾の一部などが発見・押収された。
●3月9日夜,イングーシ共和国とチェチェン共和国の境界近辺で,外国人を含むジャーナリストや人権活動家一行が乗車するバスが何者かによって襲撃され,ジャーナリストらが殴打されるとともにバスが放火された。
●3月11日,イングーシ共和国ナズラニ市においてモスク近くで自動車が爆発し,1人が負傷し,6台の自動車が損壊した。このうちの1台は,イスラム教指導者が所有する車両であった。
●3月29日,ダゲスタン共和国マハチカラ市近郊で法執行機関職員を乗せた車列の車両が走行中に爆発し,1人死亡し,2人が負傷した。その後,ISIL「コーカサス州」名で犯行声明が出された。
●3月30日,ダゲスタン共和国ダバサランスキー地区の検問所付近で自動車が爆発し,警官1人が死亡し,1人が負傷した。
●1月7日パベレツキー駅,1月29日ノボシビルスクの水力発電所,1月30日カザン駅及びクルスク駅,2月18日モスクワ市内の複数の主要ショッピングセンター(アシャン等),2月21日ピャトニツカヤ通りの「国民自由党本部」,2月13日ショッピングセンター「メガ・ベラーヤ・ダーチャ」,3月2日スカチェルヌィ横町に所在する「ロスバルト」通信社,3月8日リーシスキー市場,3月4日ショッピングセンター「オーブラカ」,3月4日クールスキー駅,3月11日プロスペクト・ミーラ駅近くのファーストフードショップ付近等にて不審者による爆発物脅迫電話があり,避難措置等がとられたが,爆発等はなかった。
特になし。
以上