- ロシア内務省は,2014年のロシア連邦内の犯罪情勢について次のとおり発表した。
(ア)全犯罪の登録件数は,216万6400件(前年比-1.8パーセント)であり,この内172万8600件(前年比-1.9パーセント)が刑事事件として提起された。
(イ)上記登録犯罪における摘発率は,88.9パーセント(前年比-0.1パーセント)であった。
(ウ)各種犯罪の件数が減少する中,環境犯罪(廃棄物処理,資源・鳥獣・森林保護等に関する犯罪)の登録数(2万5530件・昨年比+3.2パーセント),麻薬取引関連犯罪摘発数(25万3500件・昨年比+9.5パーセント),テロ的性質をはらんだ犯罪登録数(1127件・前年比+70.5パーセント),過激主義による犯罪登録数(1024件・前年比+14.3パーセント)が増加傾向を示した。また,外国人及び無国籍者を対象とした犯罪件数も1万4000件となり,前年比6.1パーセント増加した。
2014年に発生した,武器が用いられた犯罪は7200件で前年比4.6パーセント減少した。モスクワ市においては,359件の武器を用いた犯罪が発生している。ロシアでは銃器の入手が容易であり,日常的なトラブルにも銃器が持ち出されることもあり,注意を要する。
- 【邦人被害】
●11月22日夕,在留邦人がモスクワ市内の大型ショッピングセンター内のスーパーマーケットで買い物をして帰宅していたところ,肩からたすき掛けにしていたショルダーバッグの中に入れておいた財布を何者かに窃取された。
●12月4日夕,邦人出張者が,モスクワ市内のレストランで会食中,席に置いていた旅券を含むバックを置き引きされた。
●12月13日深夜,モスクワ市イズマイロフ地区周辺において,無許可のタクシーの運転手及び同乗していた者が,客として乗っていた在留邦人の所持してたパスポート及び現金を強奪した。
●12月28日深夜,在留邦人が仕事を終えてモスクワ市クルスカヤ駅近くの自宅に帰宅したところ,自宅アパートの部屋に何者かが侵入し,パソコン,カメラ等の貴重品を盗まれる空き巣被害にあった。
●12月29日,邦人留学生がニジニノブゴロドにてバスで大学に通学途中,何者かにリュックサックの底を刃物で切られ,中に入っていた財布,旅券,書類等が盗難被害にあった。
●12月29日,邦人旅行者が,シェレメチェボ空港ターミナルDに到着し,税関検査を通過したところで,国内線に乗り継ごうと(同じターミナル)したところ,男に乗り継ぎにはタクシーに乗る必要があるといわれて,タクシーに案内され,料金は6,000ルーブルといわれた。別のタクシーに乗車したところ2,000ルーブルを請求され,支払わされる被害にあった。
(注:シェレメチェボ空港では流しのタクシーによる高額な料金請求が増加しており,また,モスクワ市内でも無許可タクシーの運転手による現金強奪事件が発生しているので,タクシーを利用する際は信頼できる正規のタクシーを利用する等の対応が必要)
- 【外国人被害】
●10月9日,モスクワ市内の両替所で,イタリア人が1200万ルーブルを外貨に両替しようとしたところ,男が近づいてきて,有利なレートで交換できると話を持ちかけた。被害者が現金を手渡すと,男はその場から立ち去り戻ってこなかった。
(注:モスクワ市内では,昨夏30以上の違法両替グループが摘発された。このような両替詐欺や違法両替グループは,主に中東系の外国人犯罪組織が行っているといわれており,当局の許可を得ず違法に営業する両替店は,主にターミナル駅等の繁華な場所にあり,正規の両替商との見分けがつかないので注意が必要である。)
●10月15日昼,モスクワ市ブティルスカヤ通りにおいて,中国国籍の夫婦が銃を持った者に襲われた。被害者の男性は銃把で頭部を殴られ120万ルーブルの入ったかばんを奪われ,その妻も所持していたかばんを奪われた。
●11月5日,モスクワ市地下鉄警察職員の巡査部長が強姦の容疑で解雇された。この容疑者は,11月4日午前8時頃,地下鉄「アカデミカ・ヤンゲリ」駅構内で移民法違反の容疑でキルギス出身の女性の身柄を拘束し性的な関係を強要し,さらに女性が所持していた現金800ルーブルを奪った。
●11月18日,モスクワ市ボリシャヤ・ニキツカヤ通り付近において,外国人が殴打される事件が発生した。犯人は,31歳のブリャンスク市出身者であった。
●11月21日,モスクワ市北部チェルミャンカ川周辺の小屋でホームレスの遺体が発見された。その小屋から20メートルほど離れたところアジア系の男が刺殺されているのがが発見された。両者の関係は不明なるも,アジア系男性の遺体は死後2か月以上が経過していた。
●11月21日夜,モスクワ市ワルシャフスコエ街道85番地の建物入口付近で,8人の男が3人のインド人をおそった。被害者の1人は,殴られた後に現金数千ルーブルと総額10万ルーブル以上の貴重品(金の装飾品、携帯電話2台、ジャケット)を奪われた。
- 【その他参考となる事案】
●10月18日,モスクワ市北東区警察は,不法移民に対する一斉取締を行い,455人の不法移民を拘束した。拘束された移民は,CIS諸国やベラルーシ出身者であった。
●10月23日,モスクワ市南西区警察は,同区交通警察と協力して,運送業者に対する不法移民掃討作戦を実施した。この結果,無許可タクシー行為を行っていた中央アジアおよびモルドバ出身の移民9人を拘束した。捜査の結果,これらの移民は違法にロシア国内に滞在していることが判明した。
●10月24日,モスクワ市警察は,一晩で6,830人の移民を拘束した。これらの者は,不法滞在やその他の犯罪を犯しているかどうか調べられるために拘束されたもので,このうち535人が不法滞在者であった。
●10月27日,iPhone6に絡んだ大規模な詐欺の被害者50人から警察へモスクワ市プレスネンスキー地区に所在する携帯電話販売店にiPhone6の前払い金を支払ったにもかかわらず,商品が引き渡されなかったとの通報があった。この詐欺の実際の被害者数はさらに多いと見られる。
●11月13日昼,モスクワ市レオンチェフスカヤに位置する在ロシア・ウクライナ大使館前で,若い女性がウクライナ政府に対し軍事行動停止を求めるポスターを掲げた後,同大使館の柵で首つり自殺を試みた。この人物は,警察に身柄を拘束され,病院へ搬送された。
●11月10日から12日までの間,モスクワ市東区警察は,無許可でタクシーの営業を行っていた10人のドライバーを摘発した。このドライバーは、32歳から45歳の中央アジア出身者であった。
●11月10日,モスクワ市内の大気中の硫化水素濃度が通常より高い数値を示し,報道では石油精製プラントが発生源とみられるとしていた。
●11月20日,モスクワ市地下鉄レーニンスキ-・プロスペクト駅構内に停車していた車両内で,男2人が喧嘩を始め,一方が相手の顔に向かって護身用拳銃を発砲した。警察は,発砲した北カフカス連邦管区出身の21歳男の身柄を拘束した。
●11月21日早朝,モスクワ中心部で10台以上の高級車を狙った放火事件が発生した。被害総額は300万ドル以上に上る。出火原因を消防局の専門家が調査することになるが,既に放火の証拠が明らかになっている。
●12月14日,モスクワ市ジュジノ地区及び北ブトボ地区において,無許可でタクシーの営業を行っていた外国人10人が摘発された。彼らは,南コーカサス地域,東欧,中央アジア地域出身者であった。行政的違法行為として調書が作成され,3台の自動車が押収された。
●12月20日から22日にかけて,モスクワ市東区警察は,無許可でタクシーの営業を行っていた運転手13人を拘束した。これらの運転手は,全員が中央アジア出身者であった。