安全情報

 

 

 

 

 

2013年4月~6月までの当地治安関連情報

 

     
  1.  治安・社会情勢(一般治安情勢,政治的安定度,反政府勢力の動き,対日感情の変化)
    (1)2011年12月の国家院選挙に続き,2012年3月大統領選挙が実施され,同年5月にプーチン首相が大統領に復帰,メドヴェージェフ大統領が首相に就任した。2011年12月以降,不正投票が行われたとして,大規模な反体制抗議運動が起こり,大統領就任式前日には集会参加者と治安維持当局との小競り合いが発生,その後集会法の罰則強化やNPO外国エージェント法採択等の締め付けを行い,抗議運動は鎮静化されつつあるが,社会の不満は依然として解決されるには至っていないといわれている。なお,これらの反体制デモ・集会は,本年5月にも市内中心部のボロトナヤ広場で開催されており,大きな混乱は見られなかったが,一部民族主義者のデモも行われている。
    (2)ロシア国民の日本に対する感情は一般的には良好であるが,反面,北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に抗議することもあり,複雑な側面がある。6月19日,団体「もう一つのロシア」を名乗る若者約10名が大使館前でビラ配布を行う等の抗議活動を展開し,そのうち2名が敷地内に侵入し,発煙筒を投げ込み,逮捕される事件が発生した。本件は,翌20日のサンクトペテルブルクにおける松山外務副大臣とモルグロフ外務次官との会談を前にして実施された。今後,同様の抗議活動が当館や日系関連団体・企業等に対して行われる懸念があり,警戒が必要である。
    (3)テロが頻発する北コーカサスにおいては,5月20日ダゲスタン共和国マハチカラ市の執行官事務所前の路上にて爆発物が仕掛けられた車両が2回にわたり爆発し,死者4名,負傷者40名以上が死傷する爆弾テロが発生し,さらに25日,同市の内務省庁舎近くの広場にて死者1名,負傷者18名が死傷する自爆テロが発生している。また,モスクワ郊外でも5月20日,連邦保安庁(FSB)がモスクワでのテロを計画していたとされるグループを逮捕した旨発表している(今期ではないが,7月初旬,北コーカサス武装勢力の幹部であるドク・ウマロフと思われる人物がカフカスセンターウェブサイトにて,ソチオリンピックの開催阻止を呼びかける動画が掲載されている。)。
    (4)現在,モスクワ市内の集合住宅などで大規模な移民摘発を強化している。
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  3.  一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
    (1)モスクワ市内務総局によると,2012年モスクワ市における犯罪件数は,約18万件で前年比3.8%増加しており,うち凶悪事件件数は,殺人が447件,強盗が2880件と依然として高水準で推移している。
    (2)当地では外国人排斥を唱える民族主義者が多数存在しているといわれている。ソバ・センター(当国における信頼度の高い人権団体として評価され度々引用されるNGO組織)によれば,2012年は,人種差別に基づく暴力行為により18人が死亡,171人が負傷したとされている。なお,1月から5月までの間に,ロシア全土で71人件の被害があり,うち4名が死亡している。
    (2)【邦人被害】
    ●4月3日21時頃,自宅付近の路上に駐車していた自家用車のナンバープレートが盗難され,電話番号のメモが残されていたので電話したところ,金銭を要求された。
    ●4月24日,ルジニキスタジアム内で所持していたノートパソコンを置き引きされた。
    ●6月3日19時頃,モスクワ南部ノヴァトロフ通の交差点において,ロシア人運転手が運転する自家用車が交通警察官に呼び止められ,現場での請求は,違法にも関わらず,運転免許不所持により現場にて罰金3万ルーブルを請求された。
    ●6月12日23時頃,フルゼンスカヤ駅付近の路上で,背後から見知らぬスラブ系男性1名に羽交い絞めにされ,仲間と思しき3人組のスラブ系男性に囲まれ,飲みかけのビールを掛けられた上,腹部を数回殴られた。
    ●6月14日19時、徒歩にて帰宅途中の邦人が、中央アジア系男性1名に「火を貸してくれ、日本人か」と声をかけられ、さらに、「スモウ、スモウ」と言われベルトをつかまれた。その際にズボン右脇ポケットに入れていた財布をすられた。
    ●6月15日昼,トレチャコフ美術館内のトイレに入り,バックを置いたが,トイレの鍵が壊れているのに気付き,バックを置き忘れて別のトイレ個室に移動したところ,短時間の間にバックが置き引きされた。
    ●6月26日午前2時頃,タクシーにてフルゼンスカヤの自宅アパートに到着したところ,路上にて見知らぬロシア人男性に突然殴打され,所持していたバックを盗難された。
    ●6月30日17時頃,地下鉄アホートヌィ・リャド駅の混雑した階段を子供を抱っこしながら降り,肩からたすき掛けしていたカバンの中を確認したところ,財布がなくなっていた。
    (3)【邦人以外の外国人の被害】
    ●4月20日,モスクワ市アンドロポフ通り21番地のアパート所在の宝石店が強盗被害にあった。午後,刃物で武装した3人が店内に押し入ってショーウィンドウを破壊し,貴金属を奪い自動車で逃走した。犯人はアジア人風で自動車は盗難車だった。
    ●4月26日,モスクワ市北部ミーラ大通り56番2(大使館から北西方向へ約600メートル)所在の両替所において,女性従業員が射殺されている状態で発見された。また、同両替所からは,450万ルーブル以上の現金が盗まれていた。
    ●5月5日夜,モスクワ市ニージュニエ・ポリャ通り23番地において,殺人及び殺人未遂事件があった。事件は、CIS諸国出身者が属する2つのグループがトラブルとなり,銃器等を使用するけんかに発展した。その結果,1名が銃弾を受け死亡,2名が刺し傷等を負い病院に運ばれた。
    ●5月12日21時ころ,モスクワ市モロデジュナヤ通り6番地の建設現場において,サッカーをしていた中央アジア人(主にタジキスタン人)グループを,地元若者のグループが襲撃した。その結果,5人の中央アジア人が怪我を負った。4人は銃創を負い病院へ運ばれ,1人は鈍器のようなもので殴られ重傷を負っていた。
    ●5月13日,北カフカス出身の移民11人がモスクワ市デカブリストの乱公園で拘束された。彼らは,けん銃や伸縮式の棒などの凶器で個人の荷物を奪い取ろうとしていた。内務省の情報筋によると3人の市民が被害にあった。
    ●5月13日未明,在ロシア米国大使館書記官がスパイ容疑により逮捕され,国外追放された。
    ●6月16日午後8時ころ,モスクワ市南東部カポトニ地区4番1において,ウズベキスタン人のグループとその対立グループとの間で抗争があった。その結果,ウズベキスタン人のグループのメンバー2名が負傷し入院した。加害者グループは青と黒の車両2台で逃走した。
    ●6月19日,警察は,赤の広場でアフリカから来た3人の観光客に対して強盗を働いたモンゴル人2名を拘束した。
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  5.  テロ・爆弾事件発生状況
    (1)邦人被害はなし。
    (2)外国人被害はなし。
    (3)テロ・爆弾事件発生事例
    ●4月5日20時48分,「レニングラツコエ大通り16Aのショッピングセンター内に爆発物のようなものが置かれている。」という匿名の電話があったため,警察はモスクワ市北西部にあるショッピングセンター「メトロポリス」の検索を行った。検索の結果,爆発の脅威がないことが確認された。
    ●4月26日午前9時ころ,モスクワ市西部オレコ・ドゥンジチャ通りの住宅近くに駐車してあった自動車の下から手りゅう弾とマカロフ拳銃用と思われる弾薬8発が発見された。これらは,内務省の爆発物処理班によって撤去された。
    ●5月20日ダゲスタン共和国マハチカラ市の執行官事務所前の路上にて爆発物が仕掛けられた車両が2回にわたり爆発し,死者4名,負傷者40名以上が死傷する爆弾テロが発生。
    ●5月20日,連邦保安庁は,モスクワ中心部でのテロ行為を企図していたとして,2人を殺害,一人を拘束した。この3人はすべてロシア住民だった。彼らはアフガニスタンやパキスタンでテロ行為の下準備をしていた。拘束の際,銃撃戦となりスペツナズ(特殊部隊)隊員1名が負傷したが、一般市民に被害はでなかった。
    ●5月25日,ダゲスタン共和国マハチカラ市の内務省庁舎近くの広場にて死者1名,負傷者18名が死傷する自爆テロが発生している。
    ●6月25日,爆弾を仕掛けた」との脅迫電話を受けて,モスクワ市カザン駅において車両の検査が実施されたものの,何らの爆発物や装置等は見つからなかった。
    ●6月25日午前5時7分ころ,リヴァ・トルストーヴァ通り27-3の建設現場において,中央アジアからの移民労働者240人を警察署へ連行した。連行された240人には不法な移民である(不法滞在・不法就労等)疑いがあり,現在確認が行われている。
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  7.  誘拐・脅迫事件発生状況
    ●5月19日夜、モスクワ市南西部ロコトヴァ通り2/10において,誘拐未遂事件が発生した。女性がベビーカーに子供を乗せて散歩をしていた際,見知らぬ男性が駆け寄ってきて,子供を連れ去ろうとした。警察が現場に到着するまでに,目撃者らによって犯人は取り押さえられ,女性は子供を取り返すことができた。警察は犯人を逮捕し,事件の詳細を調査中。
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  9.  日本企業の安全に関わる諸問題
    日本企業に対するものではないが,北方領土問題の交渉加速化合意に伴い,当館に対する以下のような抗議活動が行われており,今後の情勢次第ではさらに激化する懸念があり,当館ばかりでなく,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者個人についても各自で警戒していく必要がある。
    ●6月19日11時45分ころ,当館正面門衛所付近に「もう一つのロシア」を名乗る約10名の若者が北方領土返還反対をスローガンとする無許可の抗議活動を行い,大使館敷地内に発煙筒を投げ込み、また2名が門を乗り越えて大使館敷地内に侵入した。大使館敷地内に侵入した2名は大使館警備員によって即座に拘束され,現地警察当局に引き渡された。発煙筒を投げ入れた1名についても現地当局が逮捕した(1(2)にて既述)。
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