安全情報

 

 

 


                                

 

お知らせ
(「安全対策連絡協議会」の開催報告について(2013年11月28日開催)

 

     今般,第16回海外安全対策連絡協議会を開催したので,概要を以下のとおり報告します。

  1.  日時
     11月28日当館第一会議室内(12時~14時)
     参加人数:17名
  2.  

  3.  同協議会内容概要
       (1)冒頭,当館から,前回6月末に開催した本協議会以降に,ボルゴグラードでの自爆テロ事件の発生や民族対立の緊張化等情勢が変わってきているため,当館から情報を提供するとともに,各メンバー側からも話を伺いたい旨挨拶した。
       (2)当館政務部から,テロ・民族情勢について以下要旨を説明。
    ●10月ボルゴグラードで発生した自爆テロについて,本事件は北コーカサス以外の中核都市で,ソフト・ターゲットに対する攻撃で,かつロシア民族のイスラム教改宗者による計画・実行等の特徴がある。来年2月のソチ五輪は,北コーカサスの武装勢力以外にも一匹狼型テロ,開催地以外のテロ,政治的抗議活動,観客輸送のリスクなどの課題が指摘されている。
    ●民族対立について,11月4日の「ロシア民族の行進」ではネオナチ的主張を行う若者層だけではなく,家族連れなども参加するなどすそ野が広まったと指摘されており,最近の世論調査でも,民族間の緊張が高まっていると実感する層が増加,コーカサス,中央アジア出身者等の居住を制限すべきとの意見が増加。
    ●2025年までの移民政策コンセプトは移民に対する国家適応・融合プログラムを編成する必要があるとしているが,これらの問題は容易に解決できるものではなく,中長期的に注視する必要がある。
       (2)当館警備班から,具体的な暴力・テロ対策例について以下要旨を説明。
    ●本年10月のモスクワ南部ビリュリョヴォでの騒擾や11月4日の「ロシア民族の行進」は,①中央アジア諸国人に対する露査証制度の導入,②ロシア国民の銃所持許可,③ロシア人の特権,等を主張しており,中央アジア諸国人等が標的となっている。また,地下鉄などで「白い車両」というグループメンバーが非スラブ系人を集団で暴行することが社会問題化しつつある。危険がある場合には,「自分は日本人である」と説明することが有効な場合もある。
    ●身近なテロ対策として,テロリストとテロ実行犯は違うことを認識する必要がある。
    テロ実行犯は,自爆テロを実行するには,相当な覚悟や恐怖感があり,恐怖感を押さえるために,麻薬などを利用するケースもあり,そうした人物は目,口,容姿が麻薬中毒者等の特徴と共通するところもあり,「うつろな目」,「筋肉の緩み」,「繰り返してのつぶやき」等が見られ,公共交通機関内でこのような人物を見かけた場合は,一旦下車したり,離れるなど日頃から注意してくことが大切。
       (3)当館医務官から,冬期の健康管理について以下要旨を説明。
    ●冬期のモスクワは,心の面では,SAD(Seasonal Affective Disorders:冬期うつ病),身体面ではビタミンD不足のリスクが高まる。
    ●SADの予防・治療には,陽光溢れる低緯度地方で過ごすことが一番である。モスクワでも専用のセラピーライトが市販されている。治療には数千~1万ルクスの明るさが必要。右が無効の場合は,精神科では心理療法・薬剤治療を行うこととなる。楽しめて達成感のある活動を増やし、スポーツ、特に複数人と一緒に行うものが有効。
    ●身体面では,欧米諸国にてビタミンDの効用が脚光を浴びている。ビタミンDは,カルシウムやリンの吸収を助け,骨を丈夫にし,免疫反応に関与し炎症を抑える効果がある。ビタミンDが豊富な食品は,さけ,さんま,かれい,さば,いくら,干しシイタケ等で,ロシア人が豊富に食べる食品とかなり重なる。また,ビタミンDは、食品から補給するほかに、日光浴をすれば体内で生成することが出来る。
    ●対策としては,①陽光溢れる低緯度地方で過ごす,②ビタミンDを添加してある乳飲料の摂取,③サプリメントの摂取。尿路結石がある場合にはビタミンDサプリメントの摂取には注意が必要。ビタミンD不足は特に妊婦や乳児で起こりやすいため,冬のモスクワで離乳前の乳児を母乳だけで育てることはお薦め出来ない。粉ミルク,サプリメント,肝油などを併用されるとよい。
       (4)ア 当館領事部から邦人犯罪被害について,以下要旨を説明。
    ●本年1月から11月15日現在までの大使館に届出のあった邦人犯罪被害を集計した。発生場所としては、路上、地下鉄駅及びその周辺が最も多かった。犯罪発生場所マップを作成したところ、発生地は広く,かつ散発的に発生しており、身近なところにリスクが存在している。
    ●犯罪手口として,最近スマートフォンは狙われやすく、利用する場合には人目につかないようにブルートゥース機能やイヤフォンなどを利用することがリスクを低下させる。また,複数人によるスリが多発しているので、乗り物への乗降車時に気をつけてほしい。
    ●10月に行った緊急事態対処訓練の実施について,同時多発自爆テロ事案を想定した訓練を実施した。具体的な訓練内容は、①迅速な初動体制立ち上げ訓練、②邦人の安否確認方法、情報発信体制の確認、③情報入手・分析方法について確認、等を行い,FM放送発信機テストを実施した。
    イ 当館からの緊急連絡方法を説明するとともに,改めて同協議会メンバーに対するSMSメッセージ発信について説明した。また,退避が必要となった局面での集合場所及びFM放送発信機の周波数を再確認した。
       (5)当館領事部から,ロシア法令について以下要旨を説明。
    ●法改正が行われ,ロシアでは、外国人が行政処分を2回以上受けた場合、滞在許可の更新等が3年間許可されない可能性が出てきた。行政処分には,道路交通法違反、たばこや飲酒規制違反等も対象となるので、特に車を自ら運転している場合には注意を要する。
    ●最近「お知らせ」でも連絡したが、日本大使館職員を名乗るロシア人が日系企業に電話で、邦人駐在員の情報を聞き出しているとの報告が多数寄せられているので改めて注意喚起を行いたい。
       (6)その後,自由討議が行われ,ロシア法令関係及びビタミンD関連での各種質問が寄せられ,追加的な説明を行った。    
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     (了)