平成22年4月7日
在ロシア日本国大使館
領事部
お知らせ (地下鉄連続爆破テロ事件を受けての「安全対策会議」開催報告について)
4月6日(火)15時から16時まで、当館にて3月29日に発生したモスクワの地下鉄連続爆破テロ事件を受けての「安全対策会議」を開催したので結果をご報告します。
● 出席者
茂谷貴彦ジャパンクラブ領事・総務部会長、池田正弘ジャパンクラブ事務局長、加藤茂高モスクワ日本人学校長、南博公使(邦人安全対策統括官)、大野郁彦参事官(領事部長)、石村徳明書記官(領事部担当官)
● 議題
- 地下鉄連続爆破テロ(当館より)
(1)3月29日に発生したモスクワの地下鉄連続爆破テロ事件の概要については、既に報道を通じご存じのことと思う。モスクワにおける公共の場でのテロという潜在的な脅威は引き続き存在していることから、改めて安全対策につき徹底を図る必要がある。
(2)地下鉄連続爆破テロ事件の発生を受け、当館からは、公共交通機関の利用を含め行動に注意するよう、また、周囲に連絡がつかない邦人がいる場合には領事部に連絡をお願いする旨の一斉メールを発出したところ、一部在留邦人の方からは、被害に遭っていない旨の返信メールを頂戴した。ジャパンクラブと協力して整備してきた連絡網を使ってのお知らせであった。
また、外務省からはスポット情報を発出のうえ、改めての注意喚起を行った。
(3)スポット情報でも案内しているとおりであるが、特に今回のテロがロシア治安当局施設を標的としたものであるとの見方があることから、次の5点について改めて注意喚起したい。
(イ)最新の関連情報の入手に努める。
(ロ)公共交通機関の利用をできるだけ控える。
(ハ)政府庁舎や治安当局施設等テロの標的となる可能性のある場所にはできる限り近づかない。
(ニ)多数の人が集まる場所等においては周囲の状況に警戒する。
(ホ)安全対策を再点検し、必要な措置を講じておく。
(4)爆弾テロに関しては外務省が「爆弾テロに関する注意喚起」(http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info.asp?num=2009C173)を発出の
うえ爆弾テロに関する留意事項を案内しているとともに、「爆弾テロ対策Q&A」という冊子を作成している。この冊子の内容は必ずしもロシアの状況だけを念頭に置いたものではないが、例えば、自爆テロ実行犯は身体に装着した爆発物を隠すため、夏場でも不自然に厚着をしている等、参考となる記述も多いことから、是非一読して頂きたい。
(http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html)。
(5)テロとは直接関係ないが、地下鉄の利用に関して改めて注意を喚起したい。2月に当館において開催した「第10回安全対策連絡協議会」でも一部報告したが、モスクワの地下鉄構内での犯罪は増加傾向にあり、2009年の犯罪発生件数は、前年比13.9%増(重大事件に限れば323件発生、前年比21.4%増)となっている。テロに対する警戒と併せ、地下鉄の利用には十分注意していただきたい。
(6)最近の爆破テロや外国人殺傷事件等重大事件の被害者に邦人が含まれていないことは不幸中の幸いであるが、邦人が被害に巻き込まれる可能性は常に存在しているので、大使館としては引き続き安全情報の積極的かつ効果的な発信に努めたい。今回新たに立ち上がったジャパンクラブHPと当館HPとの間で共通の安全情報を掲載したり、情報の蓄積をしたりして邦人の方々にとっての利便性を高めていくことを検討したい。
- 意見交換
(1)地下鉄を利用して通勤している職員に対し、「地下鉄の利用を控えるように」とは、地下鉄に代わる具体的な代替交通手段が確保できない限り言い難い。テロの実行犯は人混みに紛れ込み自身の存在を目立たなくし、被害の拡大を目論み人が大勢いる場所、時間を狙ってくる可能性が高いと考えられるので、職員の始業時間を多少ずらすことにより、通勤時間帯を大勢の乗客で混雑するラッシュアワーに当たらないようにするというのも、テロに巻き込まれるリスクを軽減する措置として有効だと考える。
(2)テロの脅威はもちろんのこと、依然として民族的偏見による非スラブ系人種に対する襲撃事件が発生していることにも留意したい。3月、市内南西部で韓国人留学生に対する襲撃事件が発生したが、例年アドルフ・ヒトラーの誕生日である4月20日前後はいわゆるスキンヘッド・グループによる外国人排斥活動が活発化する時期でもあり、警戒する必要がある(当館より、4月20日前後の行動に関しては、在留邦人に対し一斉メー ルで注意喚起を行う予定である旨報告)。
(3) 欧州諸国を訪れる際、持ち主が定かでない鞄や袋等が公共の場所に
置いてあると、気がついた周囲の者が「持ち主は誰だ」と声を上げている場面に遭遇することが少なからずある。市民のテロに対する警戒意識が、我々日本人と比べて高いのだろうと感じた。我々も常に高い警戒意識を持って行動できればと思う。
(了)
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