日露武道交流年

 

 

合気道セミナー@モスクワ

 

2014年9月8日,合気会モスクワ支部主催で,荒川洋輔師範(合気会7段)を招いての国際合気道セミナーが開催されました。 荒川師範は20年に亘ってロシア各地で合気道セミナーを開催し,ご自身の経験をロシア人の門下生に教えています。 今回のセミナーでは,荒川先生はまず合気道の色々な技を実演して見せ,その後参加者一人一人に正確な技を指導しました。

大使館員がセミナーを訪れ,参加者の感想を聞いてきましたので,以下ご紹介します。

コロトコフ・アレクセイ(合気会4段)

「剣体館道場」代表

合気道合気会モスクワ連盟はいつ,どのようにして創設されたのですか? →

地域公共団体「合気道合気会モスクワ連盟(MFAA)」は,2000年11月28日に創立された自発的,自治的な非営利団体で,合気道合気会のロシア支部となっています。また,モスクワ市体育スポーツ局の認可も得ています。

稽古に通う人は多いですか? →

モスクワでは500人以上の大人及び3000人以上の子供が合気道をしています。年齢層は,4歳から75歳までにわたっています。

MFAAの主な活動について教えてください→

MFAAには,合気会本部道場直轄の古いクラブをはじめとし,モスクワにある大半の合気道合気会系クラブが所属しています。MFAAの主な活動は,植芝盛平翁が創始した戦わない武道としての合気道を普及すること,モスクワ市民を規則正しい運動習慣に参加させること,合気道の伝統に則って健康維持法を教え健康的なライフスタイルを広めることなどです。

門下生のために日本での研修を実施することはありますか?→

年に数回,日本にある本部道場で研修が行われています。その中の東京で開催される全日本大会などには,我々の門下生も参加しています。

合気道に関心を持っている方々に一言お願いします →

まず第一歩を踏み出して道場に来てみてください。そして合気道の素晴らしい道を進み始めてください。後悔することはないと思います。合気道を既にやっている方達には,この道を進むのをやめないこと,スポーツマンなら誰でもぶつかる困難に尻込みしないことをすすめます。最初のうちはしんどいかもしれませんが,じきに一定のレベルに達し,実際に結果が出てきます。

合気道に関心を持った人はどうすればいいですか?→

どんな質問でも私にしていただければと思います(aikilex@mail.ru), また,フェイスブックには稽古のスケジュールやセミナーの日程が掲載されていますので,見てみてください。(リンク)

イワノフ・グレブ(合気会1段)

本日の荒川先生のセミナーの印象はどうですか?→

荒川先生のセミナーはただ素晴らしいです。(セミナーで教わった)10%ほどが新しいことで,残りは大体知っていた基礎的な技ですが,その全てに関して新しい意味を発見しています。先生は常に,基礎的な動きに新しい意味を与えてくれるのです。

合気道を始めたばかりの人に一言お願いします →

勇気を持って,ここでは誰も自分を傷つける者はいないことを知ってください。皆そのようにして始めています。先輩は,初めて来る人には敬意を持って,というより優しくとすら言えるかもしれませんが,そのように接します。そして一番大事なことは,受け身から始めることです。受け身を知っていれば,もう怖くありませんし自分の身に起こっていることを理解できます。その後は,注意深く,真剣に,集中してわざを磨くことです。

ペトロフ・ミハイル(合気会1段)

合気道を始めてどれくらいになりますか? →

もう10年以上合気道をしています。合気道を始めてから私の生活は大きく変わりました。なぜなら,人と話し合って折り合いをつけるようになったからです。それまでの私は何でも体当たりでやるタイプで,そのせいで,職場で新しい提案をしても(やり方が単刀直入すぎたせいで)解雇されてしまったこともあったほどでした。それが,じきに本物の「合気」すなわちエネルギーの調和ということを学んだのです。

荒川先生のセミナーの印象はどうですか? →

どうして長く続く技と,短くて効果的な技があるのかと,ずっと悩んできました。荒川先生はとても分かりやすく効果的な技を見せてくださいます。それは,力む必要のない本物の「合気」です。

あなたにとって合気道とは何ですか?スポーツですか,それとも精神的な成長ですか?→

スポーツでないことは明らかです。合気道の特色は,それをする時間の半分は勝ち,半分は負けているということです。明らかに自分より弱いと思われる対戦相手に意識的に負けるというのは,心理的につらいものです。ただ負けるだけでなく,その技の特色を理解しなければなりません。もちろん合気道は,心理的な成長でもあり,他人との関係の一層の充実です。なぜなら,試合をする際には,敵ではなくライバルとして相手に対して接するようになるからです。

ウラジーミル・スネグル(合気会2級)

なぜ合気道を始めようと思ったのですか?→

合気道を始めるまで6年間,テコンドーをしていましたが,これは非常に活動的で相手を撃つスポーツです。私は非常に穏やかで平和を好む性格なので,合気道は私にとって,人と調和しながら生活していく良い方法ですし,合気道で培った考え方を生活や仕事にあてはめることができるのです。

セミナーの感想はいかがですか?→

荒川先生の今回のセミナーは非常に面白いです。私は,教育というものは経験豊かな教師の手から生徒の手へと直接伝わるものだと考えています。人の独自性はその教授法から伝わるもので,それは非常に価値のある経験です。