モスクワ安全対策情報(2019年7月)
令和元年8月7日
令和元年第1四半期(4月~6月)の海外安全情報は以下のとおり。
1 治安・社会情勢
(1)一般的治安情勢
ロシア内務省の発表によれば,2019年1月~6月のロシア連邦内の犯罪登録件数は全体で前年同期比1.9%増加となっている。
同時期においてロシア国内で認知された「テロ行為」は20件(0.0%)であるほか,テロに準じた犯罪を含む「テロの性格を有する犯罪」は972件(+0.4%),「過激主義による犯罪」は314件(-58.8%)となっている。
※括弧内は前年同時期比
(2)政治的安定度
6月12日,違法薬物を販売しようとした疑いで逮捕されたイワン・ゴルノフ記者について冤罪と批判する無許可集会が行われ,参加者200名以上が当局に拘束された。また,6月16日に事件の真相究明を求めるデモ集会が行われた。なお,その後同記者は解放された。
(3)反政府勢力の動き
かつて多数のテロ活動を行っていた反政府武装勢力「コーカサス首長国」は指導者がロシア治安当局に相次いで殺害され,その活動は減退していると見られている。
一方で,ISILに忠誠を誓った反政府武装勢力,シリアやイラクで戦闘に参加し帰還した者,ISILに影響された者によるテロの脅威は高まっている。
(4)対日感情
ロシア国民の対日感情は一般的には良好であるが,北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に対する抗議を実施しており,今後,同様の抗議活動が当館や日本関連団体・企業等に対して行われる懸念もあり,警戒が必要である。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ロシア連邦内で発生している犯罪の傾向は以下の通り
ア 全犯罪の登録件数約1011,600件のうち92.8%が摘発された。
イ 登録された犯罪のうち約半数が窃盗,詐欺,かっぱらい,強盗となっている。
ウ 侵入窃盗は昨年同時期に比べ10.8%減少した。
(2)被害例は次のとおり
【邦人一般犯罪被害】
●SNSを通じて知り合ったロシア人女性が,日本に渡航するために必要として,本邦在住の日本人に金銭を要求し,送金後は連絡がとれなくなる等の詐欺が頻発している。
【外国人一般犯罪被害】
●4月1日,モスクワ市レニングラードスキー通りにおいて,4人組の男が男性1人を襲い,現金100ルーブルと携帯電話(7000ルーブル相当)を強奪した。
●4月1日,モスクワ市ボロトニコフスカヤ通りにおいて,マスクを着用した不審者4人が市民に対して拳銃様のものを突きつけ,現金252万ルーブル及び所持品を強奪し,車で逃走した。
●4月1日,モスクワ市パルチザンスカヤ通りに所在する住宅に隣接する駐車場に停車していた乗用自動車(330万ルーブル相当)が窃取された。
●4月1日,モスクワ市リャザンスキー・プロスペクト駅のショッピングモールで,店舗の陳列棚から貴金属(500万ルーブル相当)が窃取された。
●4月2日,モスクワ市プルコフスカヤ通りのアパートにおいて,14歳の少女が見知らぬ男から強制性交の被害を受けた。
●4月4日,モスクワ市ミャスニスカヤ通りにおいて,28歳の市民が見知らぬ男2人に現金及びキャッシュカードを強奪された。
●4月4日,モスクワ市イヴァノフスコエ地区において,男女3人が,80歳女性に対し,同人の親族を装い,電話をかけ,5万ルーブルをだまし取った。
●4月5日,モスクワ市ゴンチャロワ通りに所在する防護措置の取られていない駐車場から乗用自動車(543万3,000ルーブル相当)が盗み出された。
●4月9日,モスクワ市プロイズヴォツトヴェンナヤ通りにおいて,警察が薬物使用者の拠点の浄化作戦を行い,41歳の前科持ちのモスクワ市民を拘束した。同人は,薬物使用目的で,複数回にわたって自身の部屋を薬物中毒者に提供した容疑がかけられている。
●4月11日,モスクワ市リャザンスキー大通りにおいて,見知らぬ男が無職の男性を襲い顔を殴って気絶させた上,現金3,000ルーブル及び携帯電話を奪取して逃走した。
●4月14日,モスクワ市マリウポリスカヤ通りにおいて,アパートに野球用バットとナイフで武装した4人の男が押し入り,同室に居住する1998年生まれの女性から3万5,000ルーブルを強奪して逃走した。
●4月21日,在露ベネズエラ大使館の屋根の上に精神疾患と思料される男1人が棒状のものを持って登った。警察は男を確保し,救急車で精神病院に搬送した。
●4月23日,モスクワ市コプテフスカヤ通りにおいて,28歳の男が建物前に置かれていた屋台に放火した。被害額は200万ルーブルを超える。
●4月26日,モスクワ市キロヴォグラツカヤ通りにおいて,駐車されていた高級外国車からカーナビが窃取された。
●5月6日,モスクワ市ヤセネヴァヤ通りのガソリンスタンドにおいて,男が給油中の高級外国車のガラスを破り,拳銃の様なもので車内の被害者を脅して,現金180万ルーブルを強奪した。
●5月13日,モスクワ市ゲネラル・クズネツォフ通りの携帯電話販売店から携帯電話3台(20万ルーブル相当)が窃取された。
●5月17日,モスクワ市ボブルイスカヤ通りにおいて,19歳と22歳の容疑者が,アパートに60歳の住人の留守中に忍び込み,現金及び宝石類を窃取した。
●5月20日,モスクワ市トゥシンスカヤ通りにおいて,23歳と27歳の男2人から刃物で切りつけられ,所持していた携帯電話を強奪された。
●5月21日,モスクワ市ヤキマンカ地区において,買い物かごに置き忘れた財布から,現金が窃取された。
●5月24日,モスクワ市郊外ホテイチにおいて,モスクワ郊外在住の女性(37歳)が,友人である女性(37歳)の殺害を企図し,24歳と18歳の男性2人に依頼して,共同で被害者を殺害した。
●5月28日,モスクワ市ゾイ・イ・アレクサンドラ・コスモデミヤンスキフ通りにおいて,作業着姿の男が車の窓を破り,車内のかばんを窃取した際,目撃者がこれを取り押さえようとしたことから,容疑者はかばんを捨てて逃走した。
●6月2日,モスクワ市トロイツキー地区において,2人組の強盗犯が住宅に押し入り,斧で脅して,住人である夫婦の手を縛った上,現金40万ルーブル,外貨500ドル及び700ユーロ,携帯電話,貴金属,乗用自動車を強奪して逃走した。
●6月8日,モスクワ市ユジノブトフスカヤ通りにおいて,34歳の男性が,妊婦を守ろうと暴漢を注意したところ,逆上した男3人から暴行を受けた後,池に投げ入れられ殺害された。
●6月13日,モスクワ市ヴァルショフスカエ・ハイウェイ72番地に所在する「レネッサンス・クレジット」銀行に医療用マスクを着用した強盗が押し入り,拳銃の様なものを店員に突きつけ,現金600万ルーブルを強奪して逃走した。
●6月14日,モスクワウグリンスカヤ通りにおいて,何者かがアパート1階に位置する年金生活者の住居の窓をこじ開けて侵入し,現金の入った金庫を奪って逃走した。被害額は,425万ルーブルに上った。
●6月26日,モスクワ市ベロバヤ通りにおいて,被害者が保有する高級車(730万ルーブル相当)を路上のコインパーキングに駐車していたところ,何者かによって窃取された。
●6月27日,モスクワ市エロポルト地区において,中年男性が商店に押し入り,ナイフで店員を脅したうえ,5,000ルーブルを超える現金を強奪して逃走した。
●6月28日,モスクワ市ゼレヌイ通りにおいて,被害者女性が帰宅したところ,犯人にスタンガンで襲われ,バッグを強奪された。
●6月28日,モスクワ市チェルタノヴォ・ユジノエ地区において,住人が不在中,何者かが1971年生まれの男性の自宅に忍び込み450万ルーブル相当の宝石及び時計が入った金庫を窃取した。
3 テロ・爆弾事件発生状況
●4月29日,モスクワ市郊外の某地区において,国際テロ組織「イスラム国」に関与して,その活動が禁止されているロシア国内で地下活動セルを組織し,治安機関への攻撃等を呼びかけていたとして,ロシア国籍者,中央アジア及び南コーカサス出身者の7人が治安機関によって拘束された。拘束現場等の捜索では,銃器,弾薬,通信機器,電磁的記録媒体,過激派関連書籍等が押収された。
●5月16日,モスクワ市内において,治安機関は,2015年1月から2019年5月にかけて国際テロ組織「イスラム国」の関係者に合計5,000万ルーブル以上の違法な資金援助を行っていた北オセチア出身の26歳の男1人を拘束した。
●5月22日,ウラジーミル州コリチュギノ市において,連邦保安庁は,民家にテロを計画している武装した犯人が潜伏している情報を入手したことから,現場周辺を封鎖した上で犯人らに投降を呼びかけたが,治安機関職員に対して発砲してきたため,応戦射撃により犯人2人を殺害した。犯人らは,ロシア国外のテロ組織から指示を受け,人が多く集まる場所でのテロを計画していた。現場からは,武器,弾薬,手製の爆発物,過激派関連書籍等が発見された。
●6月19日,モスクワ市及びその他6地域において,治安機関が,国際テロ組織「イスラム国」のために資金援助を行っていた秘密セルを摘発し,容疑者2人を拘束した。
●6月26日,サラトフ市において,連邦保安庁は,国際テロ組織「イスラム国」の構成員によるテロ行為を準備段階で阻止した。犯人であるロシア国籍の男性は,「イスラム国」の指示に従って,ソフトターゲットを狙ったテロを実行するため爆発物を製造するなどしていた。連邦保安庁は,拘束際,犯人が武器を用いて抵抗したことから,同人を殺害した。現場からは,銃器,弾薬,手製爆発物及びその部品が発見された。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
(1)邦人被害なし
(2)その他
特になし
5 日本企業の安全に関わる諸問題
(1)日本企業に対するものではないが,当館に対して領土問題に関する抗議活動が行われることがある。領土問題については,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者であっても言動等に注意が必要である。
(2)ロシアの外国人管理には厳しい面があり,交通違反等であっても複数回違反した場合には入国禁止処分にできる規定もあるので,法令違反には注意が必要である。また,不法滞在の処罰も厳格化しており,うっかり気づかず数日間査証が切れていたり,滞在登録を忘れていたりする場合にも,違法行為として裁判となる可能性があるので,日頃から注意しておく必要がある。また,最近,夜間に地下鉄駅,主要幹線道路等で警察から旅券の提示を求められる場合があり,所持していないと警察署に連行されるため,旅券の携行を推奨する。
1 治安・社会情勢
(1)一般的治安情勢
ロシア内務省の発表によれば,2019年1月~6月のロシア連邦内の犯罪登録件数は全体で前年同期比1.9%増加となっている。
同時期においてロシア国内で認知された「テロ行為」は20件(0.0%)であるほか,テロに準じた犯罪を含む「テロの性格を有する犯罪」は972件(+0.4%),「過激主義による犯罪」は314件(-58.8%)となっている。
※括弧内は前年同時期比
(2)政治的安定度
6月12日,違法薬物を販売しようとした疑いで逮捕されたイワン・ゴルノフ記者について冤罪と批判する無許可集会が行われ,参加者200名以上が当局に拘束された。また,6月16日に事件の真相究明を求めるデモ集会が行われた。なお,その後同記者は解放された。
(3)反政府勢力の動き
かつて多数のテロ活動を行っていた反政府武装勢力「コーカサス首長国」は指導者がロシア治安当局に相次いで殺害され,その活動は減退していると見られている。
一方で,ISILに忠誠を誓った反政府武装勢力,シリアやイラクで戦闘に参加し帰還した者,ISILに影響された者によるテロの脅威は高まっている。
(4)対日感情
ロシア国民の対日感情は一般的には良好であるが,北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に対する抗議を実施しており,今後,同様の抗議活動が当館や日本関連団体・企業等に対して行われる懸念もあり,警戒が必要である。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ロシア連邦内で発生している犯罪の傾向は以下の通り
ア 全犯罪の登録件数約1011,600件のうち92.8%が摘発された。
イ 登録された犯罪のうち約半数が窃盗,詐欺,かっぱらい,強盗となっている。
ウ 侵入窃盗は昨年同時期に比べ10.8%減少した。
(2)被害例は次のとおり
【邦人一般犯罪被害】
●SNSを通じて知り合ったロシア人女性が,日本に渡航するために必要として,本邦在住の日本人に金銭を要求し,送金後は連絡がとれなくなる等の詐欺が頻発している。
【外国人一般犯罪被害】
●4月1日,モスクワ市レニングラードスキー通りにおいて,4人組の男が男性1人を襲い,現金100ルーブルと携帯電話(7000ルーブル相当)を強奪した。
●4月1日,モスクワ市ボロトニコフスカヤ通りにおいて,マスクを着用した不審者4人が市民に対して拳銃様のものを突きつけ,現金252万ルーブル及び所持品を強奪し,車で逃走した。
●4月1日,モスクワ市パルチザンスカヤ通りに所在する住宅に隣接する駐車場に停車していた乗用自動車(330万ルーブル相当)が窃取された。
●4月1日,モスクワ市リャザンスキー・プロスペクト駅のショッピングモールで,店舗の陳列棚から貴金属(500万ルーブル相当)が窃取された。
●4月2日,モスクワ市プルコフスカヤ通りのアパートにおいて,14歳の少女が見知らぬ男から強制性交の被害を受けた。
●4月4日,モスクワ市ミャスニスカヤ通りにおいて,28歳の市民が見知らぬ男2人に現金及びキャッシュカードを強奪された。
●4月4日,モスクワ市イヴァノフスコエ地区において,男女3人が,80歳女性に対し,同人の親族を装い,電話をかけ,5万ルーブルをだまし取った。
●4月5日,モスクワ市ゴンチャロワ通りに所在する防護措置の取られていない駐車場から乗用自動車(543万3,000ルーブル相当)が盗み出された。
●4月9日,モスクワ市プロイズヴォツトヴェンナヤ通りにおいて,警察が薬物使用者の拠点の浄化作戦を行い,41歳の前科持ちのモスクワ市民を拘束した。同人は,薬物使用目的で,複数回にわたって自身の部屋を薬物中毒者に提供した容疑がかけられている。
●4月11日,モスクワ市リャザンスキー大通りにおいて,見知らぬ男が無職の男性を襲い顔を殴って気絶させた上,現金3,000ルーブル及び携帯電話を奪取して逃走した。
●4月14日,モスクワ市マリウポリスカヤ通りにおいて,アパートに野球用バットとナイフで武装した4人の男が押し入り,同室に居住する1998年生まれの女性から3万5,000ルーブルを強奪して逃走した。
●4月21日,在露ベネズエラ大使館の屋根の上に精神疾患と思料される男1人が棒状のものを持って登った。警察は男を確保し,救急車で精神病院に搬送した。
●4月23日,モスクワ市コプテフスカヤ通りにおいて,28歳の男が建物前に置かれていた屋台に放火した。被害額は200万ルーブルを超える。
●4月26日,モスクワ市キロヴォグラツカヤ通りにおいて,駐車されていた高級外国車からカーナビが窃取された。
●5月6日,モスクワ市ヤセネヴァヤ通りのガソリンスタンドにおいて,男が給油中の高級外国車のガラスを破り,拳銃の様なもので車内の被害者を脅して,現金180万ルーブルを強奪した。
●5月13日,モスクワ市ゲネラル・クズネツォフ通りの携帯電話販売店から携帯電話3台(20万ルーブル相当)が窃取された。
●5月17日,モスクワ市ボブルイスカヤ通りにおいて,19歳と22歳の容疑者が,アパートに60歳の住人の留守中に忍び込み,現金及び宝石類を窃取した。
●5月20日,モスクワ市トゥシンスカヤ通りにおいて,23歳と27歳の男2人から刃物で切りつけられ,所持していた携帯電話を強奪された。
●5月21日,モスクワ市ヤキマンカ地区において,買い物かごに置き忘れた財布から,現金が窃取された。
●5月24日,モスクワ市郊外ホテイチにおいて,モスクワ郊外在住の女性(37歳)が,友人である女性(37歳)の殺害を企図し,24歳と18歳の男性2人に依頼して,共同で被害者を殺害した。
●5月28日,モスクワ市ゾイ・イ・アレクサンドラ・コスモデミヤンスキフ通りにおいて,作業着姿の男が車の窓を破り,車内のかばんを窃取した際,目撃者がこれを取り押さえようとしたことから,容疑者はかばんを捨てて逃走した。
●6月2日,モスクワ市トロイツキー地区において,2人組の強盗犯が住宅に押し入り,斧で脅して,住人である夫婦の手を縛った上,現金40万ルーブル,外貨500ドル及び700ユーロ,携帯電話,貴金属,乗用自動車を強奪して逃走した。
●6月8日,モスクワ市ユジノブトフスカヤ通りにおいて,34歳の男性が,妊婦を守ろうと暴漢を注意したところ,逆上した男3人から暴行を受けた後,池に投げ入れられ殺害された。
●6月13日,モスクワ市ヴァルショフスカエ・ハイウェイ72番地に所在する「レネッサンス・クレジット」銀行に医療用マスクを着用した強盗が押し入り,拳銃の様なものを店員に突きつけ,現金600万ルーブルを強奪して逃走した。
●6月14日,モスクワウグリンスカヤ通りにおいて,何者かがアパート1階に位置する年金生活者の住居の窓をこじ開けて侵入し,現金の入った金庫を奪って逃走した。被害額は,425万ルーブルに上った。
●6月26日,モスクワ市ベロバヤ通りにおいて,被害者が保有する高級車(730万ルーブル相当)を路上のコインパーキングに駐車していたところ,何者かによって窃取された。
●6月27日,モスクワ市エロポルト地区において,中年男性が商店に押し入り,ナイフで店員を脅したうえ,5,000ルーブルを超える現金を強奪して逃走した。
●6月28日,モスクワ市ゼレヌイ通りにおいて,被害者女性が帰宅したところ,犯人にスタンガンで襲われ,バッグを強奪された。
●6月28日,モスクワ市チェルタノヴォ・ユジノエ地区において,住人が不在中,何者かが1971年生まれの男性の自宅に忍び込み450万ルーブル相当の宝石及び時計が入った金庫を窃取した。
3 テロ・爆弾事件発生状況
●4月29日,モスクワ市郊外の某地区において,国際テロ組織「イスラム国」に関与して,その活動が禁止されているロシア国内で地下活動セルを組織し,治安機関への攻撃等を呼びかけていたとして,ロシア国籍者,中央アジア及び南コーカサス出身者の7人が治安機関によって拘束された。拘束現場等の捜索では,銃器,弾薬,通信機器,電磁的記録媒体,過激派関連書籍等が押収された。
●5月16日,モスクワ市内において,治安機関は,2015年1月から2019年5月にかけて国際テロ組織「イスラム国」の関係者に合計5,000万ルーブル以上の違法な資金援助を行っていた北オセチア出身の26歳の男1人を拘束した。
●5月22日,ウラジーミル州コリチュギノ市において,連邦保安庁は,民家にテロを計画している武装した犯人が潜伏している情報を入手したことから,現場周辺を封鎖した上で犯人らに投降を呼びかけたが,治安機関職員に対して発砲してきたため,応戦射撃により犯人2人を殺害した。犯人らは,ロシア国外のテロ組織から指示を受け,人が多く集まる場所でのテロを計画していた。現場からは,武器,弾薬,手製の爆発物,過激派関連書籍等が発見された。
●6月19日,モスクワ市及びその他6地域において,治安機関が,国際テロ組織「イスラム国」のために資金援助を行っていた秘密セルを摘発し,容疑者2人を拘束した。
●6月26日,サラトフ市において,連邦保安庁は,国際テロ組織「イスラム国」の構成員によるテロ行為を準備段階で阻止した。犯人であるロシア国籍の男性は,「イスラム国」の指示に従って,ソフトターゲットを狙ったテロを実行するため爆発物を製造するなどしていた。連邦保安庁は,拘束際,犯人が武器を用いて抵抗したことから,同人を殺害した。現場からは,銃器,弾薬,手製爆発物及びその部品が発見された。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
(1)邦人被害なし
(2)その他
特になし
5 日本企業の安全に関わる諸問題
(1)日本企業に対するものではないが,当館に対して領土問題に関する抗議活動が行われることがある。領土問題については,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者であっても言動等に注意が必要である。
(2)ロシアの外国人管理には厳しい面があり,交通違反等であっても複数回違反した場合には入国禁止処分にできる規定もあるので,法令違反には注意が必要である。また,不法滞在の処罰も厳格化しており,うっかり気づかず数日間査証が切れていたり,滞在登録を忘れていたりする場合にも,違法行為として裁判となる可能性があるので,日頃から注意しておく必要がある。また,最近,夜間に地下鉄駅,主要幹線道路等で警察から旅券の提示を求められる場合があり,所持していないと警察署に連行されるため,旅券の携行を推奨する。