モスクワ安全対策情報(2018年10月)

1 治安・社会情勢
(1)一般的治安情勢
 ロシア内務省の発表によれば,2018年1月~9月のロシア連邦内の犯罪登録件数は全体で1,490,900件(-3.9%)となっている。
 同時期においてロシア国内で認知された「テロ行為」は27件(+42.1%)であるほか,テロに準じた犯罪を含む「テロの性格を有する犯罪」は1,341件(-10.4%),「過激主義による犯罪」は1,165件(-2.0%)となっている。

※括弧内は前年同時期比

(2)政治的安定度
 7月及び9月には政治活動家や政治組織によりモスクワ各所で年金改革に関するデモが行われているが,その他の大規模なデモ等は発生していない。

(3)反政府勢力の動き
 かつて多数のテロ活動を行っていた反政府武装勢力「コーカサス首長国」は指導者がロシア治安当局に相次いで殺害され,その活動は減退していると見られている。
 一方で,ISILに忠誠を誓った反政府武装勢力,シリアやイラクで戦闘に参加し帰還した者,ISILに影響された者によるテロの脅威は高まっている。

(4)対日感情
 ロシア国民の対日感情は一般的には良好であるが,北方領土問題などで民族主義者や各種団体が当館に対する抗議を実施しており,今後,同様の抗議活動が当館や日本関連団体・企業等に対して行われる懸念もあり,警戒が必要である。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ロシア連邦内で発生している犯罪の傾向は以下の通り
 ア 全犯罪の登録件数約1,490,900件のうち92.7%が摘発された。
 イ 登録された犯罪のうち約半数が窃盗,詐欺,かっぱらい,強盗となっている。
 ウ 侵入窃盗は昨年同時期に比べ19.2%減少した。
(2)被害例は次のとおり
【邦人一般犯罪被害】
●7月17日夜,いわゆる白タクで地図アプリを見せるため携帯を運転手に貸したところ,降車時に持ち去られた。
●9月17日,モスクワへ向かうシベリア鉄道車内で就寝していたところ,北朝鮮人と思われる男性から暴行を受けた。
●9月19日,モスクワ市の地下鉄にて鞄を開けて携帯を取り出した際に,通行者に強くぶつかられたと思ったら鞄の中に入っていたパスポート等が無くなっていた。

【外国人一般犯罪被害】
●7月6日午前3時30分頃,モスクワ市劇場広場において,見知らぬ男から差し出されたコーヒーを飲んだイギリス人が,意識を失い所持品を奪われた。
●7月9日夜,モスクワ市ノーブイアルバート通りに所在するマリオットホテルにおいて,何者かが企業経営者の男性が宿泊する客室に侵入し,金庫から2,000万ルーブル及び3万5,000ドルの現金を盗んだ。 
●7月15日夜,サッカーワールドカップの決勝戦が行われたルジニキスタジアムにおいて,見知らぬ男がフランス人サポーターの1万2,000ユーロ相当の腕時計を盗んだ。男性は,フランス代表が得点した際に男から抱き付かれ,手を強く握られた後,腕時計がなくなっていることに気がついた。
●7月18日夜,モスクワ市ボリシャヤポリャンカ通りにおいて,信号で停車した車に見知らぬ男が乗り込み,男性を拳銃で脅迫した上,現金380万ルーブルの入ったバッグを奪った。
●7月19日,モスクワ市レニングラーツキー大通り75番地に所在する銀行にヘルメットをかぶった男が押し入り,拳銃のようなもので脅迫した上,多額の現金(450万ルーブル及び3万2千ユーロ)を奪って逃走した。
●7月20日,モスクワ市レニングラーツキー街道8番地に所在する金融業者のオフィスに見知らぬ男が押し入り,拳銃で脅迫した上,現金を奪って逃走した。
●7月27日午後3時頃,モスクワ市第一ブレスツカヤ通りにおいて,見知らぬ男が警察官を刃物で襲い怪我を負わせて逃走した。警察は,17歳の男を逮捕した。
●7月27日深夜,モスクワ市クールスキー鉄道駅において,サッカーファン同士のけんかが発生し,1人が死亡,2人が負傷した。ニジニノブゴロドで行われたロコモチフ対CSKAの試合の後,ニジニノブゴロド発の電車がクルースキー駅に停車していた際に事件が発生した。
●8月1日,モスクワ市レニンスキー通りにおいて,見知らぬ男が19歳の少女を襲って脅迫し,携帯電話と財布を奪って逃走した。警察は32歳の男を逮捕した。
●8月3日,モスクワ市ペトロフカ横丁の住宅敷地内において,2人組の男が男性の顔を殴った上,バッグを奪って逃走した。被害額は約5万ルーブル。
●8月3日午後9時過ぎ,モスクワ市キロヴォグラツカヤ通りにおいて,見知らぬ男が男性を数回殴った上,リュックサックの中の現金320万ルーブルを奪い逃走した。
●8月8日,モスクワ市ゼレノグラード地区のアパートにおいて,見知らぬ4人組の男が24歳の女性を強姦した。警察は,21歳,23歳,27歳のキルギス人及び30歳のタジキスタン人を逮捕した。
●8月13日,モスクワ市ミチュリンスキー大通り所在のレストランにおいて,マスクで顔を隠した2人組の男が,施錠していない出入口から店内に押し入り,店員を拳銃のようなもので脅迫して,金庫から現金約20万ルーブルを奪い逃走した。警察は,近隣国出身の移民の男2人を強盗容疑で逮捕した。
●8月15日深夜,モスクワ市エントゥジアトフ街道の住宅において,頭部など複数か所を拳銃で撃たれ負傷した男性が発見され,病院に搬送された。警察は,1973年生まれの男を逮捕した。
●8月20日,モスクワ市レルモントフスキ大通りにおいて,見知らぬ2人組の男が男性に暴行を加え書類や私物等在中の鞄を奪った。警察は21歳と27歳の男を逮捕した。
●8月23日,モスクワ市シフツェフ・ヴラジェク横丁に所在するチリ大使館,ガボン共和国大使館付近において,見知らぬ男が当該外交使節団を警備する警察官2人に発砲し,1人を負傷させた。警察は男に発砲し,男は病院で死亡した。男は1987年生まれのカバルダ・バルカル共和国出身者であった。
●8月23日,モスクワ市第3ソコリニーチェスキー通りの住宅において,75歳の女性が自宅から現金や宝石が無くなっていることに気がつき警察に通報した。警察は,窃盗容疑で28歳の男を逮捕した。男は住宅のベランダから室内に侵入し,約25万ルーブル相当の現金や装飾品を盗んだ疑い。
●8月30日,モスクワ市トロパレヴォ・ニクリノ地区において,見知らぬ男が24歳の女性を誘拐し,同女の父親に架電して身代金18万ドルを要求した。警察は,37歳の旧ソ連諸国出身の男を逮捕し,女性は解放された。
●9月3日未明,モスクワ市地下鉄クールスカヤ駅において,見知らぬ男が警察官に発砲して殺害し,逃走した。警察は,「治安機関職員の生命に対する侵害」の罪で男を逮捕した。
●9月6日,モスクワ市内の市場において,50歳の女性が背負っていたリュックサックから5万ルーブルの現金が盗まれた。警察は38歳の近隣国出身の男を逮捕した。
●9月7日,モスクワ市クレノヴィ通りにおいて,見知らぬ2人組の男が男性をナイフで脅し携帯電話を奪って逃走した。警察は,23歳と27歳の移民の男を逮捕した。
●9月7日,モスクワ州クリフツォヴォ地区の路上において,男が男性をガラス瓶で殴った上,男性の妻から鞄を奪おうとして男性ともみ合いになった。パトロール中の警察官が現場で15歳の地元の男を逮捕した。
●9月9日,モスクワ市マリノ区ノボチェルカッスキー並木通りにおいて,数人の男が口論となり,1人の男が故意に自動車ではねて10人に怪我を負わせた。警察はキルギス人の男を逮捕した。
●9月10日,モスクワ市ヴォストチノエ・イズバイロヴォ地区に所在する会社事務所において,男が拳銃で女性を脅し現金を奪って逃走した。警察は23歳の男を逮捕した。
●9月14日夕方,モスクワ市マルクシスツカヤ通りのオフィスビルにおいて,男らがライフル銃を発砲した。警察は,酒に酔った状態の7人の男を逮捕した。
●9月16日,モスクワ市北部のアンガルスカヤ通りの住宅地において,若い男2人がけんかの末,拳銃を発砲し,相手に怪我を負わせた。警察は双方の男を逮捕した。
●9月20日,モスクワ市バイカリスカヤ通り所在の住宅において,見知らぬ男が窓から侵入し,現金40万ルーブルを盗んだ。警察は,27歳の男を逮捕した。
●9月22日,モスクワ市第2ヴォルコンスキー横丁において,タクシーの運転手が乗客の女性を強姦した後,車から押し出して逃走した。警察は,1988年生まれの男を逮捕した。

3 テロ・爆弾事件発生状況
 7月~9月において特にテロ・爆弾事件は発生していない。

4 誘拐・脅迫事件発生状況
(1)邦人被害なし
(2)その他
  特になし

5 日本企業の安全に関わる諸問題
(1)日本企業に対するものではないが,当館に対して領土問題に関する抗議活動が散発した。領土問題については,日系企業や団体,在留邦人,邦人旅行者であっても言動等に注意が必要である。
(2)近年,ロシアでは外国人管理が厳格化されており,軽微な交通違反等であっても複数回違反した場合,入国禁止処分を受けることもあるので,法令違反には注意が必要である。また,不法滞在の処罰も厳格化しており,うっかり気づかず数日間査証が切れていたり,滞在登録を忘れていたりする場合にも,違法行為として裁判となる可能性があるので,日頃から注意しておく必要がある。また,最近,夜間に地下鉄駅,主要幹線道路等で警察から旅券の提示を求められる場合があり,所持していないと警察署に連行されるため,旅券の携行を推奨する。