ガレージ現代美術館への外務大臣表彰伝達式における上月大使祝辞

令和3年6月9日
親愛なるベロフ館長、
ご列席の皆様、
 
この度は、ガレージ現代美術館が外務大臣表彰を受けられたことに対し、心よりお祝い申し上げます。
 
ガレージ現代美術館は、2008年に創設された比較的若い美術館ですが、既にロシアにおいて現代美術を紹介する代表的な美術館の一つです。日本の文化の発信に大きく貢献してくれました。本日は、ガレージ現代美術館の功績を2点からご紹介したいと思います。
 
第一に、J―FESTへの貢献です。
 
J―FESTは、2010年からモスクワで開催されているイベントです。当初のテーマは、ポップカルチャーが中心でしたが、2017年から「日本の夏祭り」をテーマに一新しました。盆踊り、和太鼓、書道、武道など、日本の伝統文化からサブカルチャーまで楽しんでいただける総合的な日本紹介イベントに発展してきました。
 
ちょうどこの年に、ガレージ現代美術館がJ―FESTのパートナーに加わりました。ガレージ現代美術館の建物の前に大きな櫓が作られ、その周りを多くの来場者が盆踊りを踊るという、本格的な「日本の夏祭り」が実現しました。
 
そして、コンセプトと会場がマッチして、2018年には来場者が約10万人、2019年には約12万人が来場しました。特に、2019年は、日露首脳の合意に基づき2018年から2019年にかけて実施された日露交流年のフィナーレと位置づけられ、交流年の成功裏の実施に花を飾って頂きました。J-FESTがロシア最大の日本祭となったのは、ガレージ現代美術館の協力なしにしてはできないことです。改めて感謝申し上げます。
 
 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響がある中で、新たな試みとして、共催者である貴美術館の協力も得て、オンラインで開催しました。その結果、130以上のコンテンツを配信し、ロシア全国で約20万人の方に参加いただくことができました。
 
ベロフ館長は、かつて、J―FESTを世界一流のイベントにしたいと言ってくれましたが、今後もJ―FESTを一緒に盛り上げたいと思います。
 
次に、ロシアにおける日本の芸術の紹介です。
 
貴美術館は、日本の芸術・文化をロシアに紹介してくれました。特に、「日本年」の一環として2017年に開催された世界アーティストの村上隆展は特筆されます。準備に2年以上を費やし、美術館のほぼ全ての空間を使い、村上隆の世界を表現しました。村上隆氏も開会式に出席し、講演会を行ってくれました。ロシアに日本の新しい文化の側面を伝える画期的な展覧会になりました。30万人が来訪し、モスクワに一大旋風を起こしました。自分も訪問し、感銘を受けました。
 
このように、ロシアにおける日本文化の普及に大きく貢献された貴美術館の功績に心から敬意を表するとともに、今回の表彰を改めてお祝い申し上げます。
 
駐ロシア日本大使として、今後も、ガレージ現代美術館との関係を拡大させたいと思います。J-FESTについても、昨年、オンラインで実施して、オンラインのメリットも感じました。今年の夏、オンラインとオフラインを上手く組み合わせて、更に充実したJ-FESTをガレージともにつくり上げたいと思います。また、ガレージ現代美術館が、今後も日本の新しい芸術を紹介してくださることを楽しみにしています。
 
最後に、ベロフ館長及び本日ご臨席の皆様の今後のご健康とますますのご活躍を祈念します。