ラグビー・ワールドカップ日本開催記念レセプションにおける上月大使挨拶

令和元年6月24日

尊敬するアルテミエフ・ロシア・ラグビー連盟最高会議議長,ジューコフ国家院第一副議長,
尊敬する友人の皆さん,


本年9月20日から,いよいよ日本でラグビーワールドカップ2019が開催されます。


本日は,アジア初となるラグビーワールドカップの日本開催を記念するとともに,ロシアチームの選手団の来訪を歓迎するため,ロシアラグビー連盟や議会・政府の関係の皆さん,W杯参加国の大使の皆さんをお招きし,レセプションを開催することとしました。


ラグビーの価値と魅力を世界中に届ける。ラグビーワールドカップの持つミッションの一つです。ラグビーワールドカップを日本で開催し,その魅力を広く伝えたい。これが日本のラグビー関係者の長年の夢でした。


尊敬する皆さん,


本日は,ラグビーワールドカップ日本開催を実現した立役者であり,私も個人的によく知っている2人のことをお話したいと思います。


一人は,ロシアでもよく知られている森喜朗元総理です。


森元総理自身,かつてラグビープレイヤーとして活躍していましたが,2005年から日本ラグビーフットボール協会の会長として,W杯日本招致を目標の一つとして掲げ,各国への働きかけに尽力されました。日本のラグビー関係者は,異口同音に,W杯実現は森元総理の尽力が大きかったと言います。


そしてもう一人,私の外交官としての同期生であり,友人であった故・奥克彦大使のことをご紹介したいと思います。


奥大使は,かつてラグビープレイヤーとして活躍していましたが,その後外交官としての道を歩むことになり,外務省に入省した後,私はソ連へ,奥氏はラグビーの本拠地であるイギリスに留学しました。以来,彼は外交官としてさまざまな国を訪れ,日本でのワールドカップ開催という悲願の実現にライフワークとして取り組みました。しかし,2003年,彼はイラク復興のために身を捧げる中で,テロリストの凶弾に倒れ,帰らぬ人となってしまいました。


森元総理と奥氏は同じ早稲田大学ラグビー部出身として,古くから親しい関係にあり,奥氏の悲願を森元総理がかなえたのです。


このように,私にとっても,ラグビーワールドカップの日本開催は,思いの深い行事となりました。


尊敬する皆さん,


これから我々はライバルとして競い合うわけですが,プレーを通じてラグビーの価値と魅力を世界中に届けるという目標においては,同志といえましょう。そして,日本はホストとして,皆さんをおもてなしし,全ての人が楽しめる大会とすることをお約束します。


9月20日の開幕戦は日本対ロシアです。駐ロシア日本大使としては,どちらのチームを応援すべきか複雑な気持ちですが,試合が終わればノーサイドです。記念すべき最初の試合の相手がここにいるロシアチームの皆さんであることは,この上なく喜ばしいことです。


皆さんの来日を心からお待ちするとともに,全員の活躍を祈念します。
ご清聴ありがとうございました。



(了)