カチャン合気道クラブ「央心館」館長(元モスクワ合気道会連盟会長)への叙勲伝達式における上月大使祝辞

令和元年5月24日

この度は、カチャンさんが天皇陛下より旭日単光章を受けられたことに対して、本日お集まりの皆様とともに心よりお祝い申し上げます。


皆様ご存知のとおり、日露両首脳の合意により定められ、日本とロシアの国民の相互理解を深めることを目的とした日露交流年は、両国で成功裏に行われています。このうち、「ロシアにおける日本年」として登録した行事は500件を越え、中には数多くの武道関連の催しが含まれております。安倍総理大臣とプーチン大統領出席のもと昨年5月にボリショイ劇場で開催した開会式で、日本武道館によって伝統的な出陣前の儀式が執り行われたことは記憶に新しく、7月、ここモスクワでも、「ロシアにおける日本年」のモスクワでの閉会行事として大規模な武道大会を計画しております。


このように、重要な式典に合わせて武道が取り上げられるのは、様々な都市や地域で多くの人々に親しまれていて、日本武道がロシア社会に根付いている証だと思います。カチャンさんは1983年にモスクワ国立大学に合気道クラブを立ち上げられて以来、今日にいたるまで合気道のみならずロシアにおける日本武道の普及と発展に尽力され,合気道指導や組織化の傍ら、ロシア武道連盟でも委員を務められました。


2014年には日露武道交流年が行われ,プーチン大統領が出席した催しもありました。武道交流年にあたりカチャンさんは,ロシア各地で日本とロシアの合気道家同士の交流を実現されました。


日露交流年のスローガンは「あなたの知らない日本があります」「あなたの知らないロシアがあります」ですが、日本武道がロシアで知られるようになった背景には、長年にわたるカチャンさんの活動があると申し上げてもいいでしょう。日露交流年を通じて、日本に対する関心が高まりを見せる中、武道を始めたいと考える人がこれからますます増えることを願います。


最後に、武道を通した日露交流の発展と相互理解の深化に長年情熱を捧げられたカチャンさんの功績に敬意と祝意を表するとともに、皆様の今後のご健康とご活躍を心より祈念いたします。



(了)