平成30年度天皇誕生日祝賀レセプションにおける上月大使挨拶

平成30年12月26日

ご来賓の皆様,


本日は天皇誕生日レセプションにご出席いただき,ありがとうございます。 国立モスクワ音楽院の合唱団の素晴らしい歌声に改めてお礼申し上げます。


皆様と共に天皇陛下の85歳の誕生日をお祝いできることを大変嬉しく思います。今上陛下は来年(2019年)1月に御在位30年をお迎えになります。一方,4月30日に御退位礼正殿の儀が,翌5月1日に皇太子殿下の御即位礼正殿の儀が執り行われます。したがって,今回が今上陛下の天皇陛下としてのご生誕をお祝いする最後のレセプションとなります。


さて,本年は日露関係の歴史上,初めて「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」と定められました。ロシア全土で400件以上の事業が行われています。例えば,江戸絵画展には12万人,日本の現代文化を紹介する「J-FEST」には10万人もの来場者がありました。これらのイベントを通じ,ロシアの皆様にはこれまでに知られていない日本を知っていただきました。「やぶさめ」は今回,ロシアで初めて紹介しました。13,000人のロシア人の観客が埋め尽くすモスクワ中央競馬場を,あざやかな武者姿の日本人馬に乗って疾走する姿は今でも忘れられません。


日露間の経済分野の協力は,これまでにないスピードで進展しています。2016年5月に安倍総理がプーチン大統領に提案した8項目の「協力プラン」のプロジェクトはすでに150件を越えており,その半数以上で具体的なアクションが始まっています。この「協力プラン」では,医療分野,都市環境分野や農業分野等,特にロシア国民が生活の質の改善を実感できるプロジェクトを重視しており,これはプーチン大統領が5月の大統領令で掲げた一連の課題とも軌を一にしています。


安倍総理とプーチン大統領は,「領土問題を解決して平和条約を締結する」という戦後70年以上残されてきた課題に自分たちの手で終止符を打つという強い意志を共有しています。そして,年明けには安倍総理がロシアを訪問し,来年6月のG20サミットの際には,プーチン大統領が訪日することで一致しています。


このような日露関係の進展の中で,2019年は非常に重要な節目の年になると考えています。ここにお集まりの皆様には日露関係の更なる発展を確実なものにしていくため,是非お力をお借りしたいと思います。


18世紀ロシア帝国の軍人アレクサンドル・スヴォーロフ大元帥はこう述べています。「誠意を持って接し,真実を語る,これが友情だ。(Искренность отношений, правда в общении – вот дружба.)」これからも真の友情が日露関係に携わっている全ての人たちを結ぶことを祈念して私のご挨拶とさせていただきます。


ご静聴ありがとうございました。


(了)